FileMaker Server 19.4.2.204が稼働するUbuntu Server 18では、デフォルトではPHPは入っていません。自分で入れれば動くのはわかっているのですが、いわゆる「インストーラ」はないので、色々うまく設定しないといけなくなります。一応、動かす方法はわかったので、忘れないようにここに書いておきます。
まず、PHPのインストールですが、Ubuntuの普通のパッケージだと7.2です。せめて7.4にしたいので、こちらのサイトを参考に以下のようにコマンドを入れました。レポジトリを追加して、PHP 7.4をインストールします。
sudo apt-get update sudo apt -y install software-properties-common sudo add-apt-repository ppa:ondrej/php sudo apt-get update sudo apt -y install php7.4
これだけだと、UbuntuでのサービスとしてのApache2を稼働させるとおそらくPHPは稼働しますが、FileMaker ServerのApacheは、独自の方法で起動しているので、そちらでPHPを認識させないといけません。
そこで、以下のようにコマンドを入れて、メインの設定ファイルを修正します。最初のcdコマンドで移動するパスが、FileMaker Serverをインストールした場合のApacheのルートディレクトリです。
cd /opt/FileMaker/FileMaker\ Server/HTTPServer/ sudo nano conf/httpd.conf
以下のような場所があるので、まずここを検索します。
# # Disable PHP document # <FilesMatch "\.php$"> Require all denied </FilesMatch>
この部分を、以下のように変更します。php.confはこれから作ります。
# # Disable PHP document # #<FilesMatch "\.php$"> # Require all denied #</FilesMatch> Include conf/extra/php.conf
これだけでよさそうに思うのですが、これだけだと次のようなメッセージが出てしまいます。
[Wed Jan 19 11:11:29.516483 2022] [php7:crit] [pid 30487:tid 140490306792384] Apache is running a threaded MPM, but your PHP Module is not compiled to be threadsafe. You need to recompile PHP. AH00013: Pre-configuration failed
Apacheはマルチスレッド対応だけど、PHPは違うから、PHPを再コンパイルしろとあります。再コンパイルできるなら、レポジトリから取って来ません。そこで、若干問題が生じる可能性もあるのですが、Apacheをマルチスレッドではない状態で動かします。こちらのサイトを参考にしましたが、手順は異なります。
この点を解決するためにconf/httpd.confの編集を続けます。以下のような部分を検索します。「mpm」で検索すると良いでしょう。
LoadModule mime_module /usr/lib/apache2/modules/mod_mime.so LoadModule mpm_event_module /usr/lib/apache2/modules/mod_mpm_event.so LoadModule negotiation_module /usr/lib/apache2/modules/mod_negotiation.so
これを、次のように変更します。mpm_event_moduleをコメントにして読み込みません。新たに、mpm_prefork_moduleを読み込みます。記載されていないモジュールの読み込みが増えていますが、そのモジュールはもともとありました。
LoadModule mime_module /usr/lib/apache2/modules/mod_mime.so #LoadModule mpm_event_module /usr/lib/apache2/modules/mod_mpm_event.so LoadModule mpm_prefork_module /usr/lib/apache2/modules/mod_mpm_prefork.so LoadModule negotiation_module /usr/lib/apache2/modules/mod_negotiation.so
これで、httpd.confを保存しておきます。
続いて、php.confを作ります。php7.4をインストールしたときに作られるファイルから適当に記述を持ってきて作ったものです。エディタを起動するために、次のようにコマンドを入れます。
sudo nano extra/php.conf
もちろん、存在しないファイルなので、エディタの画面は真っ白です。ファイルの中身は次のようにします。
LoadModule php7_module /usr/lib/apache2/modules/libphp7.4.so <FilesMatch ".+\.ph(ar|p|tml)$"> SetHandler application/x-httpd-php </FilesMatch> <FilesMatch ".+\.phps$"> SetHandler application/x-httpd-php-source # Deny access to raw php sources by default # To re-enable it's recommended to enable access to the files # only in specific virtual host or directory Require all denied </FilesMatch> # Deny access to files without filename (e.g. '.php') <FilesMatch "^\.ph(ar|p|ps|tml)$"> Require all denied </FilesMatch>
冒頭のLoadModuleは必須として、最初のSetHandlerだけでも多分動くと思いますが、とりあえず、他のものも入れておきました。なお、元のファイルにあったユーザのホームで公開した場合にスクリプトを動かさないようにする設定は省きました。
ここで、Apacheサーバだけを再起動とかして動くようにするのがお作法なのですが、サーバ自体を再起動します。それが確実なようです。すると、PHPが動きました。ちなみに、php.iniファイルのパスは、/etc/php/7.4/apache2/php.ini です。
こうしてPHPが稼働する状態になっているなら、PHPのモジュールはインストールするだけでOKです。例えば、初期状態ではcurlが稼働しませんが、次のようにコマンドを入れます。
sudo apt-get install -y php7.4-curl
すると、/etc/php/7.4/apache2/conf.dに、curl.iniファイルへのショートカットが作られて、認識します。あとは、サーバー再起動でもいいのですが、httpdctl gracefulでも設定は反映されます。
ちなみに、この方法でPHPを動かすのはまたまたアップデートの時などに手順やファイル名が違ったりしたりと色々面倒な気がするので、実稼働するシステムでは、FileMaker Serverとは別にPHPを稼働させるサーバを立てるのが、トラブルは少ないのではないでしょうか。