macOSで動くFileMaker Server 2024でPHP

FileMaker ServerにはPHPが付属しなくなって久しいのですが、現状、特にFileMaker Serverで動かなくても不便はなく、PHPの処理が欲しい場合は別途サーバを立てるのが最善策なのはいうまでもありません。しかしながら、「どうしても動かしたい」という声が後を絶たず、ここでとりあえず動かす方法をまとめておきます。そもそも、Clarisからの文書として「FileMaker ServerインストーラへのPHP添付の廃止について」があるのですが、内容が非常に込み入っていて、しかも何をしているのかわかりにくいこともあって、PHPを動かすことに躊躇している人も多いかもしれません。この文書は、FileMaker API for PHPという懐かしいライブラリを利用するための方法まで書いてありますが、今時のPHPのバージョンでこのライブラリが無事に動くとは考えづらく、その方法までは不要なのが一般的ではないかと思われます。

以下の方法が成功したのは、macOS Sequoia上のFileMaker Server 2024の場合です。これは対応OSではないのに成功したということです。また、Sequioa上ではFileMaker Server 2023でも成功しました。これも対応OSではありません(2024版はSequioa対応かどうかは公表されていないですね)。一方、macOS Ventura上のFileMaker Server 2023ではエラーになってうまくいきませんでした。これは対応OSであるのに上手くいかなかった組み合わせです。macOS内蔵のApache2に、外部からインストールするphpのモジュールという組み合わせの相性があるようなので、上手くいかない場合もあるという覚悟で進めましょう。

macOSへのFileMaker Serverのインストールはすでにインストールされているものとします。これにHomebrewをインストールします。インストール方法はサイトに記載されているので、それに応じてインストールしてください。インストール後、以下のようなコマンドを叩いて、phpをインストールします。執筆時点では、8.1以降は@をつけるので良いのですが、7.4はタップというサードパーティによるモジュール提供になっているので、コマンドの入れ方が変わります。コマンドラインでphpのバージョンを切り替えるには、unlink/linkを使います。

//最新版のPHPのインストール(執筆時点では8.3)
brew install php
//特定版のインストール
brew install php@8.1
//PHP 7.4のインストール
brew tap shivammathur/php
brew install shivammathur/php/php@7.4
//バージョンの切り替え
brew unlink php
brew link php@7.4

ちなみに、通常は最新版を使うけど、PHPのモジュールとしては古いものを使うということもアリです。以下、自分の使いたいバージョンのパスを確認してください。原則、/opt/homebrew/Cellerというディレクトリ以下にありますが、状況によって違うので、見つからない場合はいろいろ情報を探ってください。

次にコード署名を行います。コード署名とは、秘密鍵/公開鍵を使った暗号化の仕組みの応用で、ざっくり言うと「誰が作ったコードかわかる仕組み」です。iPhoneのアプリケーションでは当初より署名必須となっており、Appleが発行する証明書を利用して署名されていないと、App Storeへの登録ができなくなっています。この手法はmacOSにもかなり浸透してきており、macOSに付属しているApache2のバイナリhttpdも当初よりコード署名がなされています。

PHPはApache2用のモジュール(拡張子.so)を利用します。このモジュールは、httpdと同じプロセス空間で動きます。イメージ的にはhttpdがphpのモジュールを読み込むと思えば良いでしょう。しかし、macOSの制限により、httpdが署名されている場合は、読み込むモジュールも署名されていないといけません。homebrewで得られるモジュールは署名されていないので、そのままではモジュールとして読み込んで実行ができないのです。そこで、brewで得られたphpのモジュールに署名して、httpdが読み込んで利用できるようにする必要があります。

証明書を作る方法はいろいろあるのですが、「キーチェーンアクセス」アプリケーションを利用して、いかような手順で進めて作成される自己署名証明書で大丈夫です。ポイントは、証明書のタイプを「コード署名」にすることと、指定した名前を忘れないようにすることです。この証明書はキーチェーンに入ります。

キーチェーンにコード署名用の証明書を作ったら、コマンド入力を進めます。まず、/opt/homebrew/Celler以下にあるPHPのパスを探って、phpのモジュールを探します。バージョン等でパスの形式が違う場合がありますが、特定バージョンのphpのフォルダには.soファイルは1つだけなので、それをともかく探せば良いでしょう。そして、codesignコマンドで署名を行います。ちなみに、証明書を作ったユーザでログインしてターミナルで作業する範囲では、codesignコマンドはキーチェーンと同一のデータを使うので、コマンドにキーチェーンの場所を指定する必要はありません。コード署名をしたら、署名を読み出してみて、証明書の名前がAuthorityキーの値に見えることを確認しましょう。

モジュールを特定する(以下、「モジュールのパス」と記載)
/opt/homebrew/Cellar/php/8.3.12_1/lib/httpd/modules/libphp.so
コード署名する
codesign -f --options runtime --timestamp -s "msyk-test" モジュールのパス
//コード署名を表示する',
codesign -d -vvv モジュールのパス
//以下、表示結果Authorityの部分が、証明書の名前(作成時に指定したものとなっている)
Executable=/opt/homebrew/Cellar/php@7.4/7.4.33_6/...
Identifier=libphp7
Format=Mach-O thin (arm64)
   :
Authority=msyk-test

続いて、Apache2の設定ファイルを編集します。設定ファイルは、/Library/FileMaker Server/HTTPServer/conf以下にあります。ファイルはhttpd.confなのですが、以下のように、さらに2.4という拡張子が増えているファイルがあります。これを-iをつけたlsコマンドで見ると、1列目にi-nodeが見えています。i-nodeはファイルシステムでのファイルの中身を特定する番号を思ってください。よく見ると、httpd.confとhttpd.conf.2.4は同じi-node番号です。つまり、1つのファイルの実態にファイル名が2つ割り当てられているという状況で、これらは「ハードリンク」という状態であると呼ばれます。つまり、同じ中身なのです。

% ls -l -i
total 424
158411791 drwxrwxr-x  32 fmserver  fmsadmin   1024 10  9 10:19 extra
158417655 -rwxrwxr-x@  1 fmserver  fmsadmin  18175 10  8 13:32 httpd.conf
158417655 -rwxrwxr-x@  2 fmserver  fmsadmin  18144 10  8 11:57 httpd.conf.2.4
158412007 -rwxrwxr-x   2 fmserver  fmsadmin  13077  1 25  2024 magic
158412007 -rwxrwxr-x   2 fmserver  fmsadmin  13077  1 25  2024 magic.2.4

ここで普通にファイルを変更してもいいのですが、2.4が付いた方がバックアップと売れば、httpd.confは別ファイルとして変更したいような気がするので、たとえば次のようにコマンドを入れて、http.confとhttpd.conf.2.4を別物にしてしまうという手はあります。2つ目でhttpd.confは消えるのですが、中身は別のリンクhttpd.conf.2.4から参照できる状態なので、事実上ファイルは消えません。

cd /Library/FileMaker Server/HTTPServer/conf
rm httpd.conf
cp http.conf.2.4 httpd.conf

ということで、設定ファイル/Library/FileMaker Server/HTTPServer/conf/httpd.confを修正します。以下に、元の状態とその範囲の修正結果を示します。ページ内で、phpというキーワードを探せばすぐに元の範囲は特定できます。その前にLoadModule、そしてFileMatchディレクティブの中にSetHeaderを定義します。モジュールのパスや証明書の名前は、もちろん、前に示したものを指定します。

//元の状態',
<FilesMatch "\.php$">
    Require all denied
</FilesMatch>
//修正した状態',
LoadModule php_module モジュールのパス 証明書の名前
<FilesMatch "\.php$">
    SetHandler application/x-httpd-php
</FilesMatch>

なお、ここで、LoadModuleディレクティブは、通常は証明書の名前は設定できません。Apacheのサイトでもこんな引数はありません。おそらく、macOSに搭載されているhttpdは特別にこのような設定を入れることができるようになっていると思われます。

ちなみに、Apache2のエラーログなどを見ると、正しい状態でもこのようなnoticeメッセージが出てきます。パスが違っていたり、署名されていなかったり、名前が違ったりすと別のエラーメッセージになり、Apache自体が起動しません。

[Tue Oct 08 12:44:50.253541 2024] [so:notice] [pid 17129] AH06662: Allowing module loading process to continue for module at /opt/homebrew/opt/php/lib/httpd/modules/libphp.so because module signature matches authority "Developer ID Application: Nii Masayuki (W3WVRUYJRT)" specified in LoadModule directive

ということで、お決まりの、phpinfo()関数の結果は以下のとおりです。Darwin OS内で動いているのが見えます。もう、HomebrewのPHPは、Sequoia対応になっていますが、この時はSonoma対応の段階でしたけど、ちゃんと動いていました。

そういうわけで、FMDataAPIについても動作確認しました。一連の作業は、自分の普段使いのMacで確認したので、HomebrewによるPHPはいろんなものが最初から入っているため一発で動きましたが(というか、その環境でFMDataAPIを開発している)、足りないモジュールがあればbrew install モジュール名 等でインストールしましょう。

一連の作業で面白い動作を発見しました。codesignコマンドなのですが、SSH経由でログインをしてコード署名を行うと、adhocという名前が出てくる、おそらくはちゃんとしてない署名になります。Authorityは設定されないので、ApacheのPHPモジュールに署名しても稼働はしません。つまり、codesignコマンドは、macOSにログインをして、その上でターミナルから起動して署名しないといけないのです。セキュリティ的な理由なのか、あるいはキーチェーンの扱いなんかがあるのかもしれませんが、ともかく、ログイン方法でコマンドの動作が違って場合によっては正く署名されないというのは落とし穴かもしれません。プロバイダにあるMacや、鍵のかかったサーバルームにあるMacなんかの場合はよく注意をしましょう。

そういうわけで、HomebrewがインストールしたPHPのモジュール、macOSに内蔵されているApache2のhttpdを使うということで、コード署名が必要になるということだったのですが、ちなみに、Homebrewのアップデート(brew update/brew upgradeコマンド)を行うと、場合によってはバイナリが置き換わります。上記のような手順の場合、PHP 8.3の新しいマイナーバージョンの登場で古いものは消されるので、つまりはアップデートがあればその都度コード署名をしなければならないという、面倒かつ、実運用では危険な状態でもある点に注意を払う必要があります。

ちなみに、FileMaker Serverは入れておきたいけど、PHPでも開発作業等をしたい場合、つまり、それぞれ別々に利用するのが一般的な場合は、ここにあるような作業をしなくても、phpを-Sオプションをつけて、サーバモードで動かすのが普通です。公開ディレクトリをカレントディレクトリにして、php -S localhost:9000などとコマンドを入れて、ブラウザから「http://localhost:9000」に接続します。ということで、やっぱりFileMaker ServerのApache2上でPHPを動かす必要性って限られるんですよね。

Webページでのテキストフィールド移動

同じことで何度も悩んでしまったので、ちゃんとまとめて書いておこう。タイトルだけでは何の意味かわからないですが、具体的には、ログインパネルのユーザ名とパスワードと思ってください。通常、ユーザ名を入力してEnterキーを押すと、パスワードのフィールドに自動的に移動したいですよね。ということで、ユーザ名のテキストフィールドをuserBox、パスワードのテキストフィールドをpasswordBoxで参照しているとして、まあ、例えば、こんなプログラムを組みます。イベント設定はいろんな方法があるのでそこは置いといて、keydownイベントが来て、押されたキーがEnterあるいはNumpadEnterなら、パスワードボックスに飛びます。

userBox.onkeydown = function (event) {
  if (event.code === 'Enter' || event.code === 'NumpadEnter') {
    passwordBox.focus()
  }
}

しかし、これだと、Macではおかしな動作が発生します。かな漢字変換途中の文字列でEnterを押すと、確定した文字列がユーザ名だけでなく、パスワード側にも入るのです。つまり、Enterによる確定でユーザ名に確定した文字列が入るのですが、同時に変換途中の状態でパスワード側にフォーカスが移動して、そこでもやっぱり確定されて、両方のフィールドに文字が入ってしまうようなのです。Windowsでは、どうなっているのかというのはちょっと説明しづらいですが、あまりいい感じではありません。

そこで、いろいろ調べると、EventクラスにisComposingというプロパティがあって、変換途中ならtrueになることがわかりました。ということで、結論としてはこのようにisComposingを考慮すればいいということになります。つまり、Enterキーを押しても、変換途中ならばパスワードフィールドへの自動移動をしないということです。

userBox.onkeydown = function (event) {
  if ((event.code === 'Enter' || event.code === 'NumpadEnter')
      && !event.isComposing) {
    passwordBox.focus()
  }
}

ちなみに、caniuse.comによると、isComposingはモダンなブラウザならどれもサポートしているので安心して使えます。

FileMaker 19のJavaScriptはES6で書けるのか?

FileMaker 19が発表されました。1番の目玉は、JavaScriptということでチェックしてみました。Webビューアは便利な機能である一方、MacとWindowsでHTMLのレンダリングエンジンが違うことが非常に不便なところであり、結果的に機能制約の多いWindows版で開発して、Macでチェックするということになっていたかと思います。また、JavaScriptに関する追加機能である、JavaScriptからFileMakerのスクリプトを呼び出すことも試してみました。

まず、以下のようなレイアウトを作りました。下半分のテキストを、上半分にあるWebビューアに表示するものです。WebビューアのURLとして「data:text/html,下半分のテキスト」となるような実験環境を作りました。まず、navigator.userAgentの結果をみてわかるように、Internet Explorer Ver.11相当です。Trident 7.0という文字列がそれを示しています。手元で調べた結果だと、FM17がTrident 7.0でした。それ以前のものは残っていないので、わからないのですが、いずれにしても、レンダリングエンジンはFM19では変わっていません。

JavaScriptの関数のなかに、「FileMaker.PerformScript()」という記述があります。このように、JavaScriptからスクリプトを呼び出すことができます。引数は、スクリプト名とスクリプトを引数を指定します。ただし、この関数が使えるようにするには、Webビューアのオプション「JavaScriptによるFileMakerスクリプトの実行を許可」にチェックを入れておく必要があります。最初はオフになっているので、入れ忘れないようにしないといけません。

ここでは次のような、単に1行だけのTestスクリプトを定義しておきました。

Webビューア上に見えているボタンをクリックして、JavaScriptを実行してみます。すると、隣のテキストフィールドをquerySelectorで参照して、そこに入力した文字列をvalueプロパティで取り出し、それをFileMaker.PerformScriptの引数に渡してTestスクリプトを実行し、ダイアログボックスが表示されています。なるほど、JavaScriptとの連携がだいぶんとやりやすくなりました。

なお、もう1つの新機能は「WebビューアでJavaScriptを実行」というスクリプトステップです。このスクリプトステップは1つの関数を呼び出すものです。これにより便利そうなのは、正規表現での文字列処理あたりがまず浮かびます。

ここで、コメントにしている行を有効にしてみます。バッククォートで囲むと、文字列のテンプレート処理が可能になり、${変数}で、変数やあるいは式の値を文字列に埋め込みができます。しかし、残念ながら何も表示されなくなります。つまり、JavaScriptのコンパイルで失敗していて、JavaScriptのプログラムが動かない状態になっています。もちろん、ボタンを押しても何も起こりません。なお、変数定義のlet、constについては、IE11がサポートする数少ないES6機能の1つです。

Mac版のFM19だとこのように、文字のテンプレート処理もきちんと動いています。userAgentで出てくる結果は、OSに入っているSafariと同一でした。ChromeやEdgeは「AppleWebKit/537.36」と出るので、FileMakerはOSに入っているものを利用していると思われます。

そういうわけで、FM19でJavaScriptがどの程度ジャンプするのか気になったところですが、Windows版がIE11相当なエンジンであるので、残念ながらES6(正しくはES2015というべき?)でのプログラミングができる状況ではありません。Babel使うくらいなら、ES5というか、IE11互換で記述した方が良さそうですね。

ちなみに、現在、JavaScriptで作られた様々なライブラリは「ES6のみ」という限定がされているものはまだ少数派ですが、Reactなんかは最初からES6で作られていますし(ReactアプリをIE11で動かす方法はある)、INTER-Mediatorの最新版はIE非対応としています。一方、メジャーなライブラリはIE11対応しているので、IE11エンジンだからといって、世間のライブラリが使えないということはほとんどないと思います。いずれにしても、Claris社がすっきりと「ES6対応です」と言わないのは何故だろうかと思っていたのですが、そういうことだったわけです。

Catalinaで使えなくなったRealtekのEthernetのドライバが出たけどダメだった話

私は、MacBookにNOVOOと書かれたEthernet端子付きのアダプタを自宅で使っているのですが、CatalinaになってEthernetが使えなくなりました。ドライバの問題なのは明らです。「システム情報」ではドライバそのものを認識しているのに対して、「ネットワーク」システム環境設定では赤いボールが見えていて、接続できません。もちろん、ケーブルはちゃんと接続してあります。

それで、どうやらCatalina対応版のドライバが出た模様です。Ver.1.0.20だそうです。とは言え、どうやらインストールが簡単ではないようです。そもそも、ドライバが動かなくなった理由は、おそらくはmacOSのセキュリティ要件が厳しくなったからと言うのもあると思われますが、その結果、機能拡張系は簡単にはインストールできない状態になったと思われます。そう言うわけでいろんな関門を潜り抜ける必要があるようです。

インストーラーの中のpkgファイルをダブルクリックして、まずはいきなり起動できません。署名はしてあり有効なもののようなのに、これが出るんですね。システム環境設定の「セキュリティとプライバシー」で「このまま開く」にしたら、もちろん起動してインストールはできます。

延々と待たされます。すると、インストーラーから「許可が必要になった」みたいなメッセージが出てきて、やはり「システム環境設定」のセキュリティとプライバシーを見ると、カギを解除しないといけませんが、みたこともない「いくつかのシステムソフトウェアの読み込みがブロックされました。」といったメッセージが出ています。「許可」をクリックします。

すると、ブロックされたソフトウェアがリストアップされるので、チェックを入れてOKをクリックしました。

この後待たされたのですが、最後の最後でエラーでインストールできないと言われました。えー。もう一度やったら成功したので再起動したのですが、やはり認識してくれません。「システム情報」上は以前と同じのようです。アップデートされていないとしか思えないです。

次に試したのはアンインストールです。ドライバのインストーラに、.commandファイルであるので、説明に従ってインストールして動かし、再起動してインストールしたのですが、再起動後にドライバがもはや見えない状態になっていました。

インストーラの文書を見ると、それでもダメならSIPをオフにしろと書いてあります。手順に従って、Command+R起動、csrutil disable、再起動してインストールしましたが、再起動後、「システム情報」にドライバ情報が登場しません。やはりダメです。

と言うことで、ダメでした。ググったのですが、できたと言う人もいればダメだと言う人もいると言う状況です。何か手順がいるのかも知れませんけど、macOSは順調にシステムに手を入れることを困難にしてセキュリティ確保を画策している模様です。

SwiftUIのビューをUIViewControllerに配置する

Xcode 11.2.1が最新版です。ちょっと思い立って、SwiftUIの画面ショットが必要になり、おなじみのAppleのチュートリアルを開いてみました。あれ?すでにこの通りにならない。半年くらい前に動きの悪いXcodeで必死に追っかけたチュートリアルですが、数ヶ月でその通りでなくなっています。手順通り、プロジェクトを作成する時にiOSのSingle View Appを選択すれば、その次に「Swift UI」のチェックボックスがあるはずなのですが、なくなっています。

快技庵 高橋政明@houheiさんに指摘いただきましたが、User Interfaceのところで、Storyboardではなく、SwiftUIを選択すると、以前のSwiftUIのチェックボックスを選択したのと同じ状態のプロジェクトが作れます。(2019-12-8 21:20)

仕方ないので、そのまま進みます。作ったプロジェクトにはSwiftUIのファイルはありません。この先、SwiftUIのビューを定義するにはどうするかと言うと、FileメニューのNewからFileを選択するなどして、ファイルの追加を行い、SwiftUI Viewの項目を選択して新たにファイルを作ります。この方法でファイルを開いた時、右側にプレビューのCanvasが出ないなら、EditorメニューのCanvasのチェックが入っているかを確認してください。

これで、SwiftUIのビューのコードファイルが用意されているので、作り込んでいくことはできます。なお、現状のXcodeでも、Target Device(プロジェクトアイコンを選択し、アプリケーションを選択して、Generalを選んだところで指定できる)にMacを選択したら、プレビューは動かなくなります。残念!

さて、本題は、こうして作ったアプリケーションを実際にRunさせても真っ白な画面しか出てこないです。つまり、SwiftUIはXcode上のキャンバスでないと動かないわけです。ちなみに、Appleのチュートリアルで作ったものは、ちゃんとRunしても画面に出てくるようになっているのですが、このプロジェクトは、Storyboardは使っていません。SceneDelegateクラスの最初の方に、UIWindowを生成し、UIHostingControllerを生成して、SwiftUIのViewをルートにしています。今後もしかしたら、この手法がメジャーになるのかも知れませんが、今はやはりStoryboardを中心にして作りたいと思いますよね(色々な意見はあるとは思いますが…)。

上記のチュートリアルのコードを見る限りは、UIViewControllerを継承したUIHostingControllerを使えばなんとかなりそうです。あれこれやってみて、こうすれば動くことがわかりました。元々使われているビューコントローラのViewControllerクラスをこのように書き直します。SwiftUIのビューは、既定の名前であるSwiftUIViewのままにしてあります。

import SwiftUI

class ViewController: UIHostingController<SwiftUIView> {

    required init?(coder: NSCoder) {
        super.init(coder: coder, rootView: SwiftUIView())
    }

    override func viewDidLoad() {
        super.viewDidLoad()
        // Do any additional setup after loading the view.
    }
}

要するにUIHostingControllerを継承しますが、このクラスにはジェネリックが記述されているの、そこにはViewを記述します。しかし、Viewはプロトコルなので、生成可能なクラスか構造体の名前を書く必要があります。ここでは、SwiftUIViewをそのままビューコントローラーのルートにするとして、そのクラス名を記載しました。

これだけではダメで、UIHostingController関するAppleのドキュメントを睨みます。ここで、init?(coder:rootView:)をオーバーライドしてうまくいくかなとあれこれいじっていたら、Xcodeのメッセージで「init?(coder:)を実装して、そこでスーパークラスのinit?(coder:rootView:)を呼び出しなさい」というのに出会いめでたく上記のようなコードにたどり着きました。もちろん、この初期化メソッドはStoryboardの定義に従って生成した時に初期化のために自動的に呼び出されるものです。StoryboardでViewControllerをインスタンス化する時に呼び出すコードの中で、ルートビューのインスタンスを作ります。これで、Runしたアプリケーションで、SwiftUIのビューが動くようになりました。

Storyboardは最初の状態から特に変更はしていません。View Controllerの直下のViewに対するCustom Classの設定でSwiftUIViewクラスを選択できるようになっていれば、上記のようなことは不要なように思うのですが、まだ、Xcodeはそこまで開発は進んでない模様です。SwiftUIのViewは選択できませんし、無理にキータイプして入れてもエラーになってビルドができません。もちろん、Canvasに見えるプレビューは、Storyboardの中では見えません。もうちょい先、つまり、SwiftUIのプレビューをmacOSをターゲットに入れても動くようになってからなのかなと思ったり。

Storyboardの編集機能をいじっていたら、Hositing View Controllerと言うのがあるのに気付きました。しかしながら、メッセージを見ると、その中にいれるSwiftUI Viewについては、プログラムで記述しろとなっているので、このページに書いてある方法でSwiftUIのViewを追加するのが、Xcode 11での方法になります。やはり、Storyboard上ではまだ全ての作業はできないと言うことです。(2019-12-15 10:05)

macOSでJava8

そういう需要もあると思います。今、ある作業をしていて、Javaのバージョンが違うと怒られ、Java8のJDKが必要になりました。当然、Homebrewを使うのですが、いろいろなサイトで書かれている内容はその通りには行きません。今年の4月ごろの記事から事情がもう変わっている。この記事が当たりでした。ということで、次のコマンドでいけました。メッセージを見る限りはCaskにあるようです。

brew cask install adoptopenjdk/openjdk/adoptopenjdk8

あと、ほとんど自分用メモですが、以下のコマンドで、Javaのホームのパスが得られます。

/usr/libexec/java_home -v “1.8”

あるいは、以下のようにコマンドを入れて、環境変数のJAVA_HOMEを設定します。

JAVA_HOME=$(/usr/libexec/java_home -v “1.8”)

パスに含めるなら、このような感じです。

PATH=${JAVA_HOME}/bin:${PATH}

以上は一時的な環境変数の設定です。何か特定のことにだけ、Java8を使うのであれば、システムの環境変数は書き換えない方が便利ですね。

Apple IDの2要素認証をいつまでも求められる場合の対処

ちょっと話題的には古いのかもしれませんが、Apple DeveloperのApple IDは2要素認証が必須になり、そのような警告メッセージが出ました。で、ある時から、2要素認証を「しないといけない」状況になりました。

そこで、appleid.apple.comで、2要素認証をオンにしてみたのですが、XcodeやDeveloperサイトでの状況は変わりませんでした。Xcodeでは署名のたびにパスワードを求められるのですが、それでも認証が通らなくなってきてなんとかしないといけなくなりました。appleid.apple.comで設定すればいいだけではないというのがポイントです。

で、どうすればいいかといえば、macOSのシステム環境設定にあるiCloudで、そのApple IDを入力します。しばらくすると、警告アイコンが出てきて、更新するみたいな内容のボタンが出てくるので、それをクリックしてしばらくすると、アカウントの情報が更新された模様です。そこまでくると、Xcodeでの認証が通るようになります。

多分、何かの具合で、appleid.apple.comでは更新ができない状態なのでしょうけど、iCloudで普段使っていないアカウントの場合、入力し直しになり、データが消えるみたいなメッセージに対処しないといけないわけですが、データはクラウドにあるので原則問題ないと思います。しかしながら、システム環境設定を変えるのは色々面倒と後の影響がきになるところですが、appleid.apple.comでダメだったら仕方ないので、iCloudでセットアップして、更新処理をmacOS側からやってください。

Jupyter notebookでPHPを動かす

macOS Mojave上で、Jupyter notebookを動かし、PHPのkernelを稼働させる方法を記載します。ほとんど自分用のメモみたいなものですね。なんでJupyterなのかというと、先日Bitcoinのセミナーに行ったのですが、その中で自身が作ったライブラリのデモをJupyterでやっていた人がいて、なかなか良いなと感じたからです。結構分かりやすく、セットアップしていれば実際に動かすこともできるからです。そこで、FMDataAPIのサンプルをJupyter notebookベースで示せるようにしたいということがあります。

まず、Jupyterが動いている必要があります。以前にJuliaを入れた時に色々試行錯誤したこともあって、素直な手順がわからないのですが、Homebrewを使うなら、

brew install jupyter

もし使わないのなら、以下のように、pipのアップデートをしてからjupyterをインストールします。

pip3 install --upgrade pip
sudo pip3 install jupyter

PHPの稼働が必要ですが、Mojaveでは、Homebrewを使って入れるのが良いでしょう。こちらも、いろんな用途に使っているので、あれこれ試行錯誤した結果を使っています。何れにしても、php72を、brew installで入れています。

Jupyter用のPHPカーネルは、Jupyter-PHPをインストールします。なお、このカーネルを使うには、PHPのZMQ (ZeroMQ)のモジュールが必要になります。これは、Homebrewにないので、peclでインストールします。最初のコマンドを入れると、次のように、直接レポジトリを指定しなさいと出てくるので、ともかくそうします。

sudo pecl install zmq
sudo pecl install channel://pecl.php.net/zmq-1.1.3

php -iで、phpinfo()関数相当の情報を見てみますが、おそらくエラーが出ると思われます。peclが識別している.soファイルのフォルダと、php72の.soフォルダが違うからです。

メッセージを読めば、それぞれのパスがわかるので、例えば、以下のようなコマンドで、生成したzmq.soファイルを、php72の.soファイルの位置にコピーします。これで、php -iはエラーなく実行できました。

$ cp /usr/local/lib/php/pecl/20170718/zmq.so /usr/local/Cellar/php/7.2.12/lib/php/20170718
$ php -i|grep zmq
zmq
libzmq version => 4.2.5

続いて、Jupyter-PHPをインストールします。サイトのトップページに、インストーラーのダウンロードリンクがあります。署名付きで試したらエラーになったので、とりあえず、署名なしをダウンロードして以下のコマンドを打ち込むと問題なく終わりました。

cd ~/Downloads/
sudo php ./jupyter-php-installer.phar install

こうして、「jupyter notebook」とコマンドを入れれば問題なく使えるようになりました。NewのところにPHPが出てくるので、それを選択してノートブックを用意します。FMDataAPIのノートブックは出来上がれば。レポジトリに公開します。実行済みのノートブックだと、Outも全部入っているのですが、GitHubは多分、.ipynbをリードオンリーのノートブックとして開ける機能があるようなので、サンプルコードを解説とともに読めるノートブックを、該当ソフトウエアをインストールして稼働させなくても、結果を見ることができるようになります。

で、作業していると、コードのカラーリングがされないのがちょっと寂しいです。方法はあるようですが、これをやっても自分の環境だけなのではありますが、それでもカラーリングしたいので、探してみると、jupyter-themesというのがありました。手順通りインストールできました。wgetではなく、curlを使う程度の違いです。

mkdir -p $(jupyter --data-dir)/nbextensions
cd $(jupyter --data-dir)/nbextensions
mkdir jupyter_themes && cd jupyter_themes
curl -O https://raw.githubusercontent.com/merqurio/jupyter_themes/master/theme_selector.js
cd ../ && jupyter nbextension enable jupyter_themes/theme_selector

しばらくカラーリングはうまく動いていたのですが、今、これを書いている時にはなぜか動いていません。再起動ですしょうね。

FileMaker Server 16のREST APIをmacOS上で試用する場合

FileMaker Server 16をまずは手元のMacにインストールして使ってみようという方も多いだろう。ここで、FileMaker Data API(REST API)を使用する場合にPHPのcurlライブラリを使うと、「SSL: CA certificate set, but certificate verification is disabled」というエラーメッセージが返ってくる。httpsでの通信が推奨され、証明書が検証できないと通信をしないということが当然となって来ているが、とはいえ、試用なので自己署名証明書で運用できないかとPHPの様々なパラメータを触ってみたところで、上記のエラーないしは別のエラーが出る。ということで、色々調べてみると、macOSに入っているopensslのバグで、サーバー検証をしないという設定ができないということらしい。homebrewから入れ直す方法など、色々紹介されているが、何をとっても大事になってしまう。

というところで、早速、FileMakerホスティングで有名なエミックの松尾さんが、ルータとなるスクリプトを公開された(一部、修正したい箇所があったので、筆者がフォークしたものもある)。FileMaker ServerのREST APIは、httpで接続してもhttpsにリダイレクトされるが、その背後のNode.jsが開いている3000ポートを目指して接続することで、httpでも処理が進められる。ただ、ヘッダをうまく使って同じホストからの接続しかできないような仕掛けがあるため、「直接3000番ポートに接続する」よりも、ルータスクリプトを使う方が楽である。

ルータは、WebアプリケーションとFileMaker Serverの中間に位置しており、WebアプリケーションがFileMaker ServerへのRESTコールを行う代わりに、ルーターに対して呼び出しを行う。ルーターはhttpsを使わずにFileMaker Serverを呼び出し結果を得て、それをWebアプリケーションに返す。動作としては「プロキシ」であるが、名前がrouterなので、ルーターと呼ぶことにする。

ルーターを利用できるようにするには、ダウンロードしたファイルrouter.phpを、以下のようなコマンドで起動する。ファイルがある場所をカレントディレクトリにして、コマンドを入力する。

php -S 127.0.0.1:8090 router.php

ここで、127.0.0.1は自分自身に接続するIPアドレスであり、コロンに続いてサーバーが利用するポート番号を指定する。他のプロセスが使っていない番号を使う必要がある。なお、使用を止めたい場合は、Terminalの画面でcontrol+Cキーを押す。

筆者が作ったAPIを利用するためのクラスFMDataAPIでルーターを利用したい場合、利用方法のサンプルを示したFMDataAPI_Sample.phpであれば、最初の方にあるインスタンス化している部分を記載のように修正する。パラメータを2つ追加して、8090ポートを使うことと、httpプロトコルを使うように設定すれば良い。他は変更が必要ない。もちろん、8090はルーターを起動する時に指定したポート番号を使う。IPアドレスも、基本的に起動時に設定したものを指定する。

修正前:
$fmdb = new FMDataAPI("TestDB", "web", "password", "127.0.0.1");

修正後:
$fmdb = new FMDataAPI("TestDB", "web", "password", "127.0.0.1", 8090, "http");

一方、FMDataAPITrialにあるスクリプトは、まず、lib.phpファイルにある以下の関数の返り値に、ルータ側のポート番号を指定する。

function targetHost()
{
    return "127.0.0.1:8090";
}

そして、Test2.php以降、プログラムの中のhttpsの記述をhttpに切り替える。callAPI関数の最初の引数が全てhttpsになっているので、httpに書き換える。

$host = targetHost();
$result = callAPI(
    "http://{$host}/fmi/rest/api/auth/TestDB",
    null,
    json_encode(array(
        "user" => "web",
        "password" => "password",
        "layout" => "person_layout",
    )),
    "POST");
resultOutput($result);

なお、phpコマンドで、router.phpを起動する時、127.0.0.1ではなく、localhostで指定した場合、上記の修正箇所のIPアドレスは、全てlocalhostで記述する。127.0.0.1では稼働しないので注意する必要がある。phpコマンドで起動する時に127.0.0.1を指定すると、Webアプリケーション側の設定は、127.0.0.1でもlocalhostでもどちらでも良いようだ。FileMaker Serverはかなり以前からIPv6ベースで動いているのだが、localhostとした場合、どこかで127.0.0.1ではないIPv6のアドレスとして識別しているのではないかと想像できるのだが、詳細は分からない。

ちなみに、FMDataAPIを使ったシステムを運用する時、原則としては正しい証明書でhttpsで運用することが原則だ。もちろん、盗聴されないためというのが大きな理由であるが、ホストを偽ってデータを収集されたり嘘の情報を流されることも防ぐ必要がある。httpsでの運用は、Let’s Encryptで無償で利用できるなど、年々手軽になってきているので、面倒がらずに対応すべきだというのが1つの結論である。

では、PHPを稼働させるWebサーバーとFileMaker Serverが同一のホストであれば、盗聴の心配はないのではないかと言うことになる。Firewallでポートを塞げば、それでいいのではないかと言う話もなくはない。ただ、FileMaker Data APIだけにWebサーバーを使うと言うことはあまりないと思われるので、Firewallの設定はちょっと面倒ではないだろうか。絶対に外部からFileMaker Data APIは利用しないで、サーバー内部に限るのであれば、httpでの運用でも問題はないかもしれないが、必ずサーバーの内部からの利用しかしないと言うことを管理者が人手で保証しないといけなくなる。通常、httpsで運用する手順を踏む方が楽なのではないだろうか。

自己署名証明書の問題も同様だ。サーバー内部に限るのなら、詐称のしようもないと考えることができる。これも、「絶対にサーバーの内部からの利用しかしないと言うことを管理者が人手で保証する」と言うモデルであり、むしろ、そういった人的な縛りよりもhttpsでの運用をする方が問題が発生しにく状況であると言えなくないだろうか?

そう言うことで、httpや自己署名証明書での運用は自己責任が大きいので、FileMaker Data APIでアプリケーションを開発したら、本番はhttpsでの運用を目指すようにすべきである。

なお、筆者の作ったFMDataAPIクラスは、デフォルトは証明書の検証をしない状態で稼働するので、そちらは開発中での利用を想定している。実際に正しい証明書が用意できれば、以下のメソッドを呼び出す。そうすれば、証明書の検証を行うようになる。自己署名でないこと、期限、アクセスしているサーバ名と同一なのかが検証される。

$fm->setCertValidating(true);

すなわち、FMDataAPIクラスは、証明書の検証もメソッドでコントロールできるようになっている。