講義でのペアプログラミングの使いどころ

今年度のJavaの講義では、ペアプログラミングを導入して、演習に取り組む時間を比較的多く取ってみました。そして、必須課題として、その感想を聞きましたが、総合的に良かったあるいはどちらでもないというのが33%、残りの67%は「よくなかった」という感想でした。理由は知らない相手や、理解度の違う相手との演習は思った以上に神経を使うということで、それほど効果的ではないという感想でした。全員に利点とデメリットも書かせましたが、ほぼ、同じような答えで、よくなかったと感じた人たちも利点がある点は理解しています。なんかうっとおしからいやだ…ということではなく、きちんと理由を考えさせた上で、総合評価させています。

1つあるのは、友達関係にない相手と組ませることになるのは、確かに大変かもしれません。とは言え、講義運用上どうしてもそれは必要になります。レベルが違う人と組むのは、それなりに悪い事ではないと思うのですが、「課題を行う」というまじめな学生達のゴールにとっては足かせと感じたのかもしれません。ただ、他人がどう考えるのかということが理解できる点は良かった点として挙げられていました。

今年度は比較的多くペアプロをやりましたが、来年度は、限定的にやろうかと思っています。アジャイルのプラクティスは、形のないソフトウエアを作るプロセスを進化させるいちばん有力な手法だと感じています。ただ、プログラミングの初心者でできそうなプラクティスはペアプロではないかというのが当初の考えです。しかしながら、まずは基礎力をつけてレベルを比較的揃えてからやるというのが重要なようです。また、講義全体の進行度合いとはある程度独立した課題を与えるひつ模様もあると感じました。つまり、講義の流れは追えている学生もいれば、遅れている学生もいるということで、そこで一様でなくなる可能性があるということです。来年度は、「ペアプロの日」つまり、ペアプロで課題だけをやる日を1回か2回確保しようと思っています。

ようするにペアプロが機能する状況を、講師が作った上で、させないといけないという当たり前の結論なのですが、現場の開発と教育の現場の違いはまさにそういうところではないかと感じました。