[IM] SQLの集計処理をサポート

INTER-Mediatorは宣言的な設定やあるいは動作上の状況から自動的にSQLステートメントを生成します。通常のリレーション取得はそれでもいいのですが、集計処理などでは、SQLのチューニングが必要になります。そこで、コンテキストにaggregation-select、aggregation-from、aggregation-group-byという3つのキーをサポートするようにしました。これらのキーがあると、viewキーはSQL生成では無視されます。また、読み込み処理のみをサポートするので、tableキー、keyキーは実質的に使われません。aggregation-select、aggregation-fromは両方とも指定する必要があります。これらのキーを設定すると、コンテキストからの読み込みに次のようなSQLを生成します。

SELECT [aggregation-selectの値]
FROM [aggregation-fromの値]
WHERE [query, relation, その他による検索条件]
ORDER BY [sort, その他によるソート条件]
GROUP BY [aggregation-group-byの値]
LIMIT [recordsの値]
START [オフセット値]

つまり、SELECT、FROM、GROUP BY句については、新たに導入したキーの値を利用します。aggregation-selectにSUM()などの集計関数による記述が使えるので、キーの名前にaggregationを含めています。もちろん、自動生成できないうなSQLの生成は集計だけに限りません。WHERE、ORDER BY、LIMIT、STARTはすでに組み込まれている様々な指定方法が反映されます。WHRE句は、コンテキスト定義のqueryだけでなく、relationキーによる関連レコードの検索、JavaScript上での追加条件の設定、ローカルコンテキストを利用した追加設定を利用できます、これらはすべてが実行されるSQLステートメントに反映されます。ORDER BY句も同様、コンテキストのsortだけでなく、JavaScriptやローカルコンテキストの指定も加わります。

なお、STARTについては、引き渡しは実装しましたが、現状では0でのみ利用してください。つまり、ページネーションは利用できないということです。パフォーマンスを考慮して、レコード数のカウントは、SQLの結果の数と同じにしてあるので、結果的に1ページ分しか出てこないでしょう。これは、後々改良をすることとします。

この機能によるパフォーマンス向上の効果を説明しましょう。例えば、大量の売り上げデータがあって、月ごとに集計したいとします。集計する方法は、SQLだけでなく、計算プロパティを使う方法ありますが、大量なので、処理を効率的にしたいため、データベース側で集計したいとします。aggregation-*キーがない場合には、月ごとの売り上げ集計結果が1レコードとなるようなビューを作成しておき、検索条件(例えば、年と月を指定)をビューに適用することになります。しかし、そのような動作だと、一旦ビューを構築するために全部のデータの集計を行うこともあり、一部のデータだけを使うという動作にならず、十分なパフォーマンスが得られません。しかし、aggregation-selectに「SUM(price)」のような記述が含まれていれば、WHERE句で対象月に絞り込んでクエリーを実施した上で集計されるので、全部のデータを取り出して処理をするということはなく、より最適化されたSQLが発行されます。

FROMを独立して指定できるようにしているので、ここに、「テーブル名 JOIN テーブル名 ON 条件」という記述によるテーブル結合もできます。aggregation-*キーはそのまま指定されるようになっていて、とりあえず、現状ではフィールド名のクォートなどはしていません。セキュリティ的に問題になる可能性もありますが、クライアントのユーザーによって改変できない内容なので、構築時に注意をしておけば基本的には問題ないでしょう。

サンプルは、Samples/Sample_Extensible/aggregation3.htmlです。サンプルの選択ページでは、「Aggregation Query」という列を作り、そこにサンプルページのリンクを作ってあります。