INTER-Mediatorで、テーブルに新たにレコードを作るときの挙動にバグがあり、全体的に見直しをしました。以下の内容は、Ver.3.4以降で有効です。
まず、「新規レコード作成」のクライアント側でのAPI、つまり、JavaScriptベースでの呼び出しは4カ所あります。最初の3つは、主としてINTER-Mediator自身が使うものです。
- INTERMediator.insertButton(…):レコードの繰り返しの下などに表示されるボタン
- INTERMediator.insertRecordFromNavi(…):ナビゲーションのボタン
- INTERMediator.clickPostOnlyButton(node):新規レコード作成専用モード
- INTERMediator_DBAdapter.db_createRecordWithAuth(args, completion):汎用
最後のメソッドは、INTERMediator_DBAdapter.db_createRecordでもかまいませんが、上記のメソッドだと認証のある場合、ない場合、どちらでも利用できます。
さて、データベース処理に関係する定義ファイル内のコンテキストのキーはまとめるとこんな感じです。ここでは、レコード作成に絞って考えます。
- name:コンテキスト名、tableがないとこの名前のテーブルにINSERTする
- table:実際のテーブル名を記述
- view:(無視)
- records:(ナビゲーションのボタンでレコードを作ったときの動作に影響)
- key:(同上)
- relation:(関連レコードの作成時に利用)
- query:(この設定は無視する)
- sort:(無意味)
- default-values:(フィールドの初期値)
- script:(新規レコード作成時に実行するスクリプトを指定、主にFileMaker)
- アクセス権設定:(新規レコードの認可の定義)
一時期のINTER-Mediatorでは、queryキーで指定した内容を、初期値として設定するようなプログラムが組み込まれていました。そうしないと、新規レコードを作った後に「検索されない」という状況が発生するからです。しかし、それはdefault-valuesキーで指定をすることで、検索される状態は設定できるので、あえて、queryキーを無視するようにしました。
一方、relationキーについては、関連レコードのテンプレート処理側では、これに対応した外部キーへの値の設定がないと、新しく作ったレコードは関連レコードになりません。なので、INTERMediator.insertbuttonメソッド内で、コンテキストのこの情報を見て、外部キーのフィールドの初期値を自動的に与えています。なお、演算子は無視しているので、演算子に>があるような場合などは要注意です。INTERMediator.insertRecordFromNaviメソッドは、ナビゲーションのボタンで呼び出されます。従って、通常は関連レコードのコンテキストには適用されず、relationキーは無視します。INTERMediator_DBAdapter.db_createRecordWithAuthについても、relationキーは無視します。
一方、JavaScriptのプログラムで、検索条件、ソート条件、さらに新規レコードの初期値を指定するプロパティが以下のように定義されています。新規レコードの初期値はVer.3.4が初出です。
- INTERMediator.additionalCondition:(無視する)
- INTERMediator.additionalSortKey:(無意味)
- INTERMediator.additionalFieldValueOnNewRecord:(初期値として適用される)
新規レコードではソート条件は関係ありません。検索条件のINTERMediator.additionalConditionについては、新規レコード作成時は一切無視されます。一方、すべての新規レコード作成時に、INTERMediator.additionalFieldValueOnNewRecordに指定した値が初期値として設定されます。
まとめると、新規レコード作成時には検索条件は一切利用しません。その代わり、スタティックな初期値としてのdefault-valuesキー、ダイナミックな初期値としてのINTERMediator.additionalFieldValueOnNewRecordが適用されます。また、関連レコード内でのInsertボタンを押したときにはrelationキーの値が利用されますが、その他の場合にはrelationキーは適用されません。