SimpleSAMLphp Ver.2を使ってみる(3)

(1)はIdPの起動、(2)はIdPの管理画面のチェックと進みました。ということで続いてSPです。ここでのSPはINTER-Mediatorで稼働しているという前提で話をします。状況としては次のようなものです。

  • 証明書を発行済みのドメインdemo.inter-mediator.com内で稼働する。DocumentRootは/var/www/demo_im_com
  • DocumentRootにsaml-trialディレクトリを作り、そこに、ページファイルchat.html、定義ファイルchat.phpを定義した
  • INTER-Mediatorは、saml-trial/lib/srcにgit cloneでインストールして、composerで必要なライブラリをインストール
  • 結果的に、SimpleSAMLphpのレポジトリのルートは、DocumenRoot以下、saml-trial/lib/src/INTER-Mediator/vendor/simplesamlphp/simplesamlphp となる
  • 設定ファイルのparams.phpは、saml-trial/lib/src/params.phpとする
  • demo.inter-mediator.comをホストしているApache2のsiteファイルでは、以下のように、/simplesamlへのエイリアスを作成する(Aliasの行は1行で記述)
<VirtualHost *:443>
    ServerAdmin info@inter-mediator.org
    DocumentRoot /var/www/demo_im_com
    ServerName demo.inter-mediator.com
Alias /simplesaml "/var/www/demo_im_com/saml-trial/lib/src/INTER-Mediator/vendor/simplesamlphp/simplesamlphp/public"

いきなり動くかなと確かめてみたら、ダメでした。composerの扱いをちゃんとやらないといけません。ここでは、composer.jsonのsimplesamlphp/simplesamlphpの値を”2.0.4″とバージョンをしっかり入れるようにしてみました。INTER-Mediatorの場合、composer clearnでライブラリを消して、composer update, composer installの順でコマンドを入れれば良いでしょう。

simplesamlphpの管理ページは、前回にも紹介したように、赤いヘッダなどがついたもので、CSSやスタイルシート、画像などが提供されています。ブラウザでパスを見る限りは、/simplesaml/assets/base…となっているので、レポジトリのpulic/assetsを見るのですが、空です。どうやら、assets以下の内容は、simplesamlphp/simplesamlphp-assets-baseという別のパッケージにあるようで、これが読み込まれていません。この別パッケージをassets以下に展開するには、composer installが必要なようで、結果的にupdateとinstallは両方行う必要があるようです。

設定ファイルの記述

これまでのセットアップを行うと、SimpleSAMLphpのSP自体は、パスがちょっと長いですが、/var/www/demo_im_com/saml-trial/lib/src/INTER-Mediator/vendor/simplesamlphp/simplesamlphpに存在することになります。以下のこのパスを「SPのルート」と記載します。このディレクトリの、configに設定ファイル、metadataにメタデータファイル、certに証明書類を入れるのが基本です。以下、参考にコマンドを記述しますが、INTER-Mediatorではもう少し手軽にする方法を用意していて、近々、これをSimpleSAMLphp Ver.2向けに更新する予定です。

まず、通信暗号化のための証明書を作ります。この証明書はサイトのTLSのための証明書を使ってもよく、実際には案件ではそのようにしましたが、SimpleSAMLphpのサイトの説明では、10年期限の自己署名証明書を作っています。サイトの証明書はつまり「自己署名だとダメかも」と思って使っていたわけですが、本家の説明がいきなり自己署名なので、単に暗号化のためだけに使っているということですね。opensslコマンドの後に属性などを入力しますが、(1)のIdPのところと同様適当に入れればいいかと思います。-outと-keyoutの後のファイル名も適当に指定します。

cd cert
openssl req -newkey rsa:3072 -new -x509 -days 3652 -nodes -out sp.crt -keyout sp.pem

SPのルート以下、configディレクトリには、元からあるconfig.php.distからコピーしたconfig.phpを用意します。そして、その内容を変更します。ポイントは以下の点です。baseurlpathは、SPのルートのpublicを参照するようにします。以前はwwwを参照していましたが、Ver.2で変わっています。残り3つの設定は、IdPと同様ですので、(1)の記事を参照してください。

'baseurlpath' => 'saml-trial/lib/src/INTER-Mediator/vendor/simplesamlphp/simplesamlphp/public/',
'technicalcontact_email' => 'your_email',
'secretsalt' => 'your_salt',
'auth.adminpassword' => 'your_admin_pass',

SPのルート以下、configディレクトリには、元からあるauthsources.php.distからコピーしたauthsources.phpを用意します。以下のように、default-spキーの配列の要素に、certificateとprivatekeyのエントリーを用意して、ここで作成したキーファイルと証明書ファイルを指定します。そして、entityIDをサイトのドメインに設定しておきます。

'default-sp' => [
  'saml:SP',
  'certificate' => 'sp.crt',
  'privatekey' => 'sp.pem',

   // The entity ID of this SP.
   'entityID' => 'https://demo.inter-mediator.com/',
   :

SPのルート以下、metadataディレクトリには、元からあるsaml20-idp-remote.php.distからコピーしたsaml20-idp-remote.phpを用意します。このファイルの最後(とはいえ、中身は短いコメントがあるのみ)に、IdPの管理ページからコピーした配列をコピーしておきます。

SPの管理ページからメタデータを取得

ということで、インストールに少しハマってしまいましたが、なんとか動きました。一応のルートは、https://demo.inter-mediator.com/simplesaml ですが、こちらは「ようこそ」と出るだけです。SPの管理ページに行くには、このURLの後にadminをつけた、https://demo.inter-mediator.com/simplesaml/admin にアクセスします。そして、config.phpで指定したパスワードを入力して、管理者として認証します。

設定のページは諸々確認できますが、ModulesのところでIdPとしては稼働していないことなどが分かります。

Testのタブでdefault-spのリンクをクリックすると、次のような画面が見えており、登録したIdPを認識していることが分かります。ただ、ここで「選択」をクリックするとエラーになるので、まだ何か問題なのかもしれません。

連携のところで、「V」の部分をクリックすると、メタデータが表示されます。このメタデータを、IdPに登録します。IdPがSimpleSAMLphpなら、metadata/saml20-sp-remote.phpファイルに追記することになります。

認証できています

それでは実際にIdPで認証したユーザで、INTER-Mediatorのアプリケーションを使ってみます。通常、ログインパネルが出てくるとこが、IdPというか、SPの画面に行きます。ここでは、まず、IdPを選択します。

すると、ログインパネルが出てきます。こちらはドメインを見ればわかるように、IdP側に切り替わっています。ここでは、テストユーザのuser01でログんを試みます。

無事にログインができ、メッセージが見えています。

ちなみに、SAML-tracerを使って追っかけてみました。チャットのアプリケーションのURL(https://demo.inter-mediator.com/saml-trial/chat.html)をブラウザに入れると、何度かリダイレクトされて、IdPの側の認証ダイアログが表示されます。そこまでのトレースは以下の通りです。

続いて、正しいユーザとパスワードを入力して、IdPにポストしますが、その後、アプリケーションのURLにリダイレクトされています。この時は、認証が通っているので、アプリケーション側でも、認証が通った後の処理をして、ページが構築されています。

ということで、SimpleSAMLphp Ver.2.0.4でも動くことを確認しましたが、途中ちょっとハマった理由は、すでにVer.3の作業に入っていることに気づかず、dev-masterで作業したら、色々思った通りに動かなかったのでした。Packagistのサイトを見て、あ、Ver.3.0.0になっていると気づき、Ver.2.0.4で通るようにやり直して稼働を確認できたという次第です。ちゃんとチェックしようねってことですね。