[IM]ローカルコンテキストの利用方法

INTER-Mediatorでは、タグのdata-im属性に、「テーブル名@フィールド名」の形式で記述するターゲット指定により、そのタグ要素がデータベースのフィールドにバインドされて、データベースから読み込んだデータを表示し、フォーム用のコンポーネントであればユーザによる変更結果をデータベースに書き戻す事が自動的に設定されます。しかしながら、データベースとは関係ない記憶領域があると何かと便利です。言い換えれば、データベースにしか保持できないとなると設計の順内製がそがれます。そこで、クライアントサイドの計算フィールドを実装し、さらにローカルコンテキストという機能を実装しました。

ローカルコンテキストの利用方法

ローカルコンテキストとは、データベースと連動していない記憶領域で、テーブル名は一律に「_」を使います。フィールド名は任意の変数名でかまいません。Sample_searchでは、type属性がtextのINPUTタグに対して、<input type=”text” data-im=”_@placeCondition”/> という設定を行いました。placeConditionがローカルコンテキスト内の名前です。この記述をするだけで、テキストフィールドに一度入力したデータは、ページを更新しても必ず再現されます。イメージとしてはどこかに記録されて、それが必要に応じて自動的に復活すると考えてください。保存場所はクッキーの中です。

通常のコンテキストは、1つのコンテキストに複数のレコードがあり、そのレコード内にフィールドがあるという構造です。ローカルコンテキストは「レコード」という構造がありません。コンテキスト名も常に決まっているので、実質的にはシンプルなキーバリューストアと同一です。一般のコンテキストは、エンクロージャーとリピーターという繰り返しを誘発する階層構造をベースにしますが、ローカルコンテキストは1ページごとに1つずつ持っており、どこにどう書いてもかまいません。同一のフィールド名のタグ要素が複数あれば、それらでの編集結果も連動します。

ローカルコンテキストへの直接アクセス

テキストフィールドがある場合、そこに入力した値を取り出すのは、通常はgetElementById等を使ってノードを参照します。一方、ローカルコンテキストを利用したテキストフィールドなら、ローカルコンテキストから値を取り出すほうが確実です。たとえば、前述のinputタグ要素の場合、

var c1 = IMLibLocalContext.getValue("placeCondition");

とすれば、テキストフィールドに入れた値を取得できます。なお、テキストフィールドをローカルコンテキストに反映するタイミングは、フォーカスがはずれたとき、つまりonchangeイベントで行っています。もし意図的に値をローカルコンテキストに記録するには、

IMLibLocalContext.setValue("placeCondition", value);

と記述します。

計算式の中に、ローカルコンテキストのリンクノードを参照する記述「_@field」などがあった場合、他のコンテキストにあるフィールドと同様なルートで検索します。つまり、同一のエンクロージャーを探し、なければ上位のエンクロージャを探してその子孫のノードを検索します。

ローカルコンテキストは、URLにひもづくクッキーに記録し、とりあえず、期限は1年にしてみました。いろいろなタイミングで自動的にクッキーに記録し、一方でクッキーから取り出すので、ほぼ、そういうことは意識しなくてもいいのですが、この後に説明する件で、一部のブラウザで書き込みを明示的に記述しないといけない場合があります。

連動するプロパティ

こうして、ローカルコンテキストが稼働しているので、一部のプロパティについては、ローカルコンテキストで保持することにしました。

INTERMediator.startFrom = 0;
INTERMediator.additionalCondition = {};
INTERMediator.additionalSortKey = {};

これらは、前から順番に、検索結果の何レコード目から表示するのか、追加の検索条件、追加のソート条件となります。たとえば、ユーザインタフェースを使って、追加の検索条件を与えると、それがローカルコンテキストに記録されて、事実上永続化されます。検索条件は、随時適用されるので、検索条件を与えるといつまでもその条件が適用されるようになります。

これらの動作に関連する情報は、以下のキー名を使ってローカルコンテキストに保存しています。なお、_im_で始まるキーは、システム予約としておきます。今後、こうした記録が増える可能性があります。

_im_startFrom
_im_additionalCondition
_im_additionalSortKey

たとえば、検索条件を特定のコンテキスト「context」に対して設定する場合、例えば、次のように記述するのは、従来と変わりありません。

INTERMediator.additionalCondition['context'] = {
    field: 'zipcode',
    operator: 'LIKE',
    value: IMLibLocalContext.getValue("criteria") + '%'
};

このとき、背後では、ローカルコンテキストに右辺のオブジェクトを記録し、さらにクッキーへの記録まで同時に行います。

Internet Explorer 8での対処

Ineternet Explorer Ver.8のみ、プロパティに記録したデータを自動的に永続化する事ができません。IE8の場合のみ、INTERMediatorオブジェクトのstartFrom、additionalCondition、additionalSortKeyプロパティに設定した直後に、

IMLibLocalContext.archive();

という呼び出しを入れて、ローカルコンテキストに反映しつつ、クッキーへの保存を行うようにします。IE9以降や、その他のブラウザではこの呼び出しはなくてもかまいませんが、あっても問題はありません。ただし、同じ作業を複数回行うことになるので、効率は低下します。INTER-Mediatorの内部ではIEやそのバージョンの把握を行っているので、たとえば、次のように記述すれば、IE8の場合だけ、前述のメソッド呼び出しが実装できます。

if (INTERMediator.isIE && INTERMediator.ieVersion < 9) {
    IMLibLocalContext.archive();
}