上から目線を評価する

「上から目線は言った側も言われた側も上から目線である」

「上から目線でものを言うんじゃない!」などと表現されるこの言い回しはもはや説明の必要がないくらい常套句となっています。下の立場の人から、上の立場のような言い方をされたときに、失礼だとか、お前に言われたくないよという意味で使われます。「上から目線の対処法」という記事が検索すると上位に来ます。確かに、認めてもらいたいがために上から目線になるというのは理解できますし、このページの対処法は確かにポジティブな対処法です。

役職や身分が決まっているならともかく、同等な相手で「上から目線」を感じるということは、言われて感じた側が「自分の方が上である」という認識をしているということでもあります。つまり、「低い位置で上から目線になっても、視野が極端に狭いだけじゃないのか」と感じることになるでしょう。

経過や大局を見ないで、その人が知っている範囲だけの知識で、大きな結論を出すような行為は、言われた側には狭い視野しかないのは一目瞭然だったりします。言われた側の方が、より広く多くの情報が分かっていることがやりとりで明確になれば、言われた側は自分が上であると判断し、相手を「上から目線」と思うわけです。

言う側も、言われる側も、そうなると所詮、自分の範疇が中心となりがちです。相手のことを知り、相手が何を考え、何を欲しているかを考慮するというコミュニケーションの原則もつい忘れがちです。上から目線でものを言わないようにしろと言うのは簡単ですが、上から目線でものを言われたとき、言った人の目線を水平にできるかどうかという点も、言われた側の器量が試されているのではないでしょうか。そして、自分の目線も水平にできるでしょうか?

怒る前に、そして怒ってもすぐに冷まし、そこから上から目線になる理由を探ることは、その人1人とのコミュニケーションだけでなく、重要なことを怠っていたことも分かるかもしれません。伝達されていない情報があったり、誤解されているということを探る機会になるのではないでしょうか。