Appleテクノロジーの5年周期

今日の未明に、次期Mac OS X Lionが発表されました。巷ではAirの方に注目が集まっているようですが、Lionの方がこの世界で仕事をしている者にとってはマジなネタです。

2011年、Mac OS X Lionがリリースされるわけですが、大きなポイントは、iOSのエクスペリエンスの統合です。これは、新たなOSが出てくる事に匹敵する程の変化と思われます。しかも、来年夏のアップデートを今からアナウンスするというのは、開発者のアダプテーションが必要だからと考えられます。ということは、単なる見栄えの違い以外にもさまざまな根本的な変化があるのではないかと思われます。

そのように予想するのは、Appleのテクノロジー的な大きな変化は、5年周期のサイクルがあると考えられるからです。Mac OS Xのリリースは、2001年です。Macを取り巻くここからの流れを見ると、アップデートが続き、それぞれ特筆すべき点は多々ありますが、次のジャンプは2006年からのIntel CPU搭載です。1年以内にすべてのラインナップがPowerPCからIntelに切り替わりました。そこまでちょうど5年、そして次の5年目が2011年です。2011年に発生する大イベントは「Mac OS X Lion」であることはもはや疑いのないこと…と考えられませんでしょうか?

一方、iPod〜iOSへの流れを見てみます。デバイスうんぬんについては5年周期はあまり見えないですが、iTunes Music Storeが2003年、App Storeが2008年です。オンラインとの連携がビジネスのキーであるAppleの携帯デバイスなので、ここの5年周期は意味深な気もします。iPodは2001年ですが、2006年にはApple TVが出ています。ここはちょっと判別しにくいのですが、初期のApple TVは「OS X」なるOSが搭載されていました。iPodについては諸説有りAppleの発表がないのでOSは判断しにくいのですが、携帯デバイスのインターナルな世界では、2001年からの初期のOS、そして2006年からのMac OS X系列のOSへと5年周期で変化しています。

90年代にもこうした周期があるのかどうかですが、1996年末に事実上NEXTSTEPを次期OSとして決定していて、そこから5年の2001年に正式リリースになっています。68kからPowerPCへの移行は1993年、そして1998年にはiMacの登場ということもあります。

いろいろなエポックメイキングなAppleのテクノロジーの変化を見る限りは、5年周期は至る所で見られます。従って、Mac OS X Lionは大きな変化をもたらすマイルストーンと考えられます。現状、発表された内容は、エクスペリエンスのiOS化であり、Mac版のApp Storeの開始ということもありますが、きっと全貌はこれだけではないでしょう。こんな次期に発表するだけに、今後デベロッパーが対処しないといけないような何かがあって、機密ベースで少しずつ公開されるものと思われます。そして、2011のWWDCで全貌を明らかにし、夏の発売でいきなりブレーク!というのがAppleのシナリオのような気がします。

ということで、想像ですが、iOSとMac OS Xの違いがかなりなくなるのではないかと考えられます。もともと主要なフレームワークはかなり近いのですが、それを可能な限り近づけるということです。Mac OS Xは高機能ながら複雑で巨大なOSでもあります。そのための使い勝手の悪さや管理の大変さもあるわけです。現在のCocoa Touchのフレームワークで作ったアプリケーションがMacでも動くように拡張をしつつ、Macの側ではファイルというものを意識しないでもいいくらいにまで、iOS的な操作体系になるのではないかと予想されます。