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El Capitanのイチオシ機能はSplit View

年中行事となったOS Xのアップグレードですが、それだけに「大した違いはない」という感想を持ってしまいがちです。しかしながら、2015年10月リリースのEl Capitan(OS X 10.11)のSplit Viewはとても注目できる機能です。一部のiPadでiOS 9により実現していた機能なので、iOSの方が少し先になりましたが、複数のアプリケーションを使い分けるMacでこそ真価が発揮できそうな注目の機能です。

要するにこんなことができます。画面全体に表示されている感じを示すために、画面ショットに外枠も追加してみました。

右は編集中の原稿をJeditで見ているところです。左側はそれをブラウザのChromeで見ているところです。画面にはこの2つのアプリケーションの画面があるだけで、他のアプリケーションはありません。右で入力や変更をして保存、左側をクリックして更新とある程度の操作は必要ですが、ウインドウの大きさは固定であり、スクリールをするだけで、位置を調整したりということしなくても、2つのアプリケーションを並行して快適に利用できます。

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こちらは、左がで開発ツールのPHPStromを使い、右側のブラウザ(Chrome)で実行しながらデバッグするという状況です。どちらのアプリケーションもさらにペインに分割されて多数のペインになっていますが、こういう作業でウインドウの前後関係を気にしないで作業できるのは非常に快適です。

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使用方法は次の通りです。まず、利用したいウインドウを2つあらかじめ用意しておきます。そして、3本指でトラックパッドを画面方向にスワイプするMission Controlを利用します。すべてのウインドウが画面いっぱいに重ならないように表示されます。そして、1つのウインドウを画面上の「デスクトップ1」などと見えているデスクトップが並ぶ箇所(背景画像がボケて見える箇所)にドラッグします。何もないところにドラッグします。以下の図ではグラフィックス表示していますが、最初は文字のみです。マウスポインタを画面の上の方に移動させれば、グラフィックスも表示されます。

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デスクトップと同じ大きさのグレーのボックスが表示されます。これが出ることを確認してからトラックパッドの押し込みを放すなどして、ドラッグを終了します。

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すると次の図のように、もう1つデスクトップが確保されますが、アプリケーション(この場合PHPStorm)が最大化された状態で追加されます。

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続いて別のウインドウを先ほど新たに作ったデスクトップの上の右半分(あるいは左半分)のあたりにドラッグして追加します。追加される場所が濃いグレーで応答しますので、ドラッグを終了する前に、画面の状況を確認しながら作業をしましょう。

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こうすれば、2画面に分割したデスクトップが1つ確保されます。Mission Controlの画面でクリックして切り替えてもいいですが、2本指で左右にスワイプして、デスクトップを切り替える方が、快適に切り替わるでしょう。アプリケーションの境界線をドラッグして、左右に移動することもできます。ディスプレイが複数台あれば、それぞれのディスプレイで、内容の異なるSplit Viewを構成することもできます。ちなみに3つのウインドウまではできません。同一アプリケーションの2つのウインドウであれば、Split Viewで表示できます。

Macだと複数のアプリケーションを行き来することはよく行います。マルチウインドウシステムはそうした作業に適合するとはいえ、たくさんのウインドウが折り重なるデスクトップは混乱の元です。切り替わるべきウインドが前面に来るはずが、全然違うウインドウが出てきてがっかりすることも多々あります。作業の上で「それぞれのウインドウを見る」となると、今まではウインドウの位置や大きさをユーザーが調整していたのですが、そういう使い方ではマルチウインドウよりスプリット形式に表示する方が見やすく効率がいいのは、多くのアプリケーションで実証されています。そして、その仕組みをOSがサポートすることで、アプリケーションを超えて1つの画面に集約できる機能がやっと使えるようになったということです。Split ViewはiOSの系譜があるとはいえ、Macにとっては新しいインタフェースを加えるものであり注目できる機能と言えるでしょう。

[IM]バリデーションの実装を再考する

INTER-Mediatorではかなり以前にバリデーションの実装はしたものの、完全ではない状態だったのですが、このところ、手を入れるに従って、いろいろ不具合…というか、「考慮が薄い」ポイントが目立ち始めましたので、改めて、議論を進めたいと考えています。

まず、バリデーションは、「入力チェック」とも言われます。いちばん、根本的なことは何かというと、「正しくない値をデータベースに保持しないようにしたい」という要求があると考えています。「正しくない」の基準は、アプリケーションによって変わりますが、「NULLである」ということかもしれませんし、「正しいメールアドレスのフォーマットではない」ということかもしれません。その場合に、データベースに記録しないようにするということがあります。データベース絡みとなると、いろいろ複雑な問題が出てきますので、これを後回しにして、まずは、アプリケーション利用者レベルからの見方を考えてみます。

開発者や管理者がバリデーションを必要とし、実装しますが、Webアプリケーションフレームワークは、バリデーションに関連したユーザーインタフェースを構築し、ユーザーを惑わせない仕組みの提供が望まれます。そもそも、アプリケーションで、どようにバリデーションが絡み合うのか、5W1H的にまず考えます。

  • When:正しくない値が入力されたとき
  • What:開発者や管理者が望ましくないと考えるデータを検知する仕組み
  • Where:入力可能なコンポーネント
  • Who:ユーザーが生成すると考える
  • Why:単純なミス、さまざまな誤認、テストあるいはインスペクション
  • How:キータイプ、あるいはコピー&ペーストなどのユーザの操作

以上の分析からは、バリデーションの検知と通知が大きな目的であることが出てきます。しかし、一部に例外があって、フィールドの初期値がバリデーション違反という場合もあります。そのとき、上記のWhoは「システム」ということになってしまいます。この初期値が違反している問題は、厳密にはデータベースの定義が正しくないで終わってしまいますが、非常に複雑な事情が絡むので、後ほど議論します。

バリデーションの検知は、INTER-Mediatorではすでに実装しています。onchangeイベントが発生したときに、フィールド単位でのチェックを行います。フィールドをまたがった判定用にも、コールバックされるメソッドの定義があります。最近になって、初期値が違反しているときでもバリデーションが働くように、onblurイベントでも判定をするようにしました。これら、さまざまなニーズはあると思われますが、タイミングと仕様が確定していれば、対処できる範囲かと思います。

一方、バリデーション違反の通知は、さまざまなバリエーションが考えられます。そういうニーズも状況も多様な状況では、プログラムを組んで対処というのはもちろん柔軟な対応ができていい部分ですが、一定の範囲を宣言的な記述でまかなうことで、プログラムを書くことを減らす意図のあるINTER-Mediatorではなんとかしたかったところです。そこで、フィールド単位のバリデーションが違反したら、「ダイアログボックスを表示して促す」「近辺に赤字等でメッセージを出す」という仕組みを定義ファイルの設定だけで実現しました。そして、イベント発生時に違反が検知されれば、雇用な動作をして、フィールドからフォーカスがはずれないようにしました。

しかし、ここまででも、すでに議論のポイントはいくつもあります。

  • バリデーションはいつ行うのか?
    • キータイプごと?
    • カット&ペーストするごと?
    • データベース更新前?
    • 複数のフィールドに対して「書き込み」ボタンがあれば、それを押したとき?
    • ポストOnlyモードとデータベース更新時は動作を違う必要があるのか?
    • 現状は、定義ファイルで指定可能なのはデータベース更新前のみ。
  • 違反通知をどのように行うのか?
    • 現在は、ダイアログボックスとページ上への文字の追加
    • 新しいページを表示したい?
    • 何が間違えたのかをもっと詳しく表示したい?
  • バリデーションに違反したら、その後にどのような操作を期待するのか?あるいは期待されるのか?
    • そのままでいいのか?
    • どこまでロールバックするのか?
    • どこまで既定値的な値を設定するのか?
    • 違反したレコードは削除しなくていいのか?
    • 違反してもレコードは作るのがいいのか?
    • 現在は、そのままにしつつ、正しい値を入力しないとそのページの他の作業をできなくしている。

あらゆるバリエーションに対する答えを用意するのか、それとも、主要な手法以外はプログラミングをしてもらうのか、その辺りが議論のポイントになると思います。いずれにしても、問題を書き出すことは必要でしょう。

データベースエンジンには通常バリデーションの仕組みは含まているので、本来はそちらを使うべきという議論があるでしょう。SQL言語での定義時に記述するため、「難しいから敬遠している」という向きもあるかもしれません。一方、なぜ、フレームワークがバリデーションをサポートするかというと、データベース側でのバリデーション処理は、違反時の状況の取得や、そこからの適切なユーザーインタフェースの構築、さらにやり直しなどの処理の組み立てなど、単純ではないプログラミングを要求されます。また、その対処方法も、データベースごとに違う可能性もあるので、むしろ、フレームワークの内部でバリデーションをサポートした方が、動作上作りやすいということもあるわけです。データベース側のエラー検知は、レイヤーを上下するワークフローをうまく組み立てるようなプログラミングを必要としますし、その結果、アプリケーションサーバーとデータベースということなるソフトウエア間の連携ということも必要になります。結果として、データベースに頼らない方が、フレームワーク内部で完結するため複雑さの一部を回避でき、加えてデータベースごとの事情に左右されないというメリットを生みます。

その結果、データベースのスキーマ定義にバリデーションルールが入らないことになり、それによる大きな問題は、初期値がバリデーション違反という状況で、ユーザーの操作に入ることがあります。これをどこの段階で、不正とみなし、どのような方法で排除するか、これが定まらないと、実装が揺らぎます。

ということで、とりあえず、頭にあることを書き出しておいて、議論を進める手掛かりにしたいと思います。

実は深刻な“カミFileMaker問題”

(2015/2/12 0:28更新:Facebookでの杉原さんの意見も反映させました。2015/2/13 17:00更新:Facebookでの日高さんの意見も反映させました。ありがとうございます。)

ネ申ExcelはExcelだけの問題か?

Excel方眼紙や罫線優先のワークシートなどなど、Excelで作った文書のうち、見栄えを整えることを主眼として作ってしまったことにより後からデータの活用ができなくなってしまった文書などを「ネ申Excel」と総称されています。三重大学の奥村先生の論文にまとめられています。良し悪しの問題は難しいのですが、例えばネ申Excelな記入用紙はWebフォームにすれば、即座に一覧が作られるなど、より利便性が高い代替え手法が明らかに存在するような場合があります。そのようにExcelにこだわる余り、自身の効率化を損なうのはもちろん、入力をするなどの利用者の利便性を著しく損なう状態になるのは避けるべきだと言えるかと思います。

同じような問題は他のソフトウエアにも、サービスにも存在します。ここで、データベースソフトの話をしたいのですが、そうなると、AccessかFileMakerかということになります。自分自身の問題でもあるので、馴染みの深いFileMakerを取り上げ、「カミFileMaker問題」として扱います。あえて、カタカナの「カミ」にしたのは、大昔「ファイルメーカー」と呼んでいたFileMakerへのトリビュートです。FileMakerのレイアウト機能は、帳票を高い自由度で作成できることから、従来の紙ベースで行われてきた業務をそのままデータベース化できる強い動機付けになっています。同じような仕様がAccessにもあることはありますが、プロの開発者からデータベース利用者までがみんなしてテーブルを定義してレイアウトをいじるというのはFileMaker市場の大きな特徴だけに、「カミFileMaker問題」が浮き彫りになると考えられます。

「カミFileMaker問題」とは?

ここで問題の定義として、紙の帳票類をそのままデータベース化してしまうことで発生する問題とします。もちろん、帳票をそのままデータベース化するだけでも、例えば、共有ができることや、印刷を省きパソコンやタブレットで閲覧することでの即時性などのメリットは発生します。最初の帳票ができたとき、「これはいい!」と誰もが思います。だけど、いくつも帳票を作るに従って問題が顕在化します。

紙が画面に変わっただけ?

帳票をデータベース化すると、どうしても従来のワークフローが結果的に踏襲されることになります。むしろ、ワークフローは出来上がっているのだから、それを電子化すればよりスムーズという、あまり根拠のない理屈を信じて突き進みます。その結果、まず、電子化されているのに「転記」という作業や、帳票の生成や破棄、あるいはステータス更新という動作に「手作業」が入ってしまいます。今までは紙だったので、それはやって当たり前でした。しかしながら、電子化するときに、そこでの自動化を深く考えなかったとしたら、同じことを端末を操作してやらないといけません。パソコンを扱うのが弱いとか、ストレスが高い人は、そこでまずはつまずくことになります。

紙にはなかったリンク情報はどうなった?

それでも仕事をみんなでがんばってこなしたとします。そして、さまざまな帳票レコードが、1つのエンティティに対して複数積み重なることにより、新たな問題が発生します。ある帳票と別の帳票が結びついている場合はよくあります。1対1や1対多ということもあるでしょうし、多対多もあります。紙で作業していると、その結びつきを人間がやっていることがあります。業務上の常識から、誰もが自動的に異なる2枚の帳票に関係がある、関係ないということを判定できるのです。この作業をパソコンの画面上で人間が行うのは非常に面倒です。紙のファイルを何冊か机に並べて対応するものを開けて突き合せるような手軽さは、今のパソコンやタブレットではまだまだ無理です。

もちろん、相手の文書IDを記録するなどすればいいのは当然ですが、気付いた時には遅かったということもあります。また、そのような「リンク」の重要性が、問題が発生しても気付かない、あるいは気付かないふりをするということあるでしょう。かくして、対応する文書の手がかりをかなり強引に引っ張り出すことになります。「同一顧客で、この帳票より前のもののうち、最新のもの」などといったリレーションシップを組むなどします。それでも、運用は可能かもしれませんが、対応が取れなくなる可能性が0ではなく、小さいながらも0%よりも大きくなります。また、業務で発生するイレギュラーなケースを忘れていると、ミスにつながります。ビジネスロジックでほぼ解決できるものでも、より単純な解決法があるのなら、単純な方が安定しているのは言うまでもありません。

矛盾する2つのフィールドの関係

さらにこんな例もあります。紙の帳票から、別の帳票に転記するとき、人間が転記するといいように解釈していたのですが、それを電子化すると、機械的に転記できないような場合が発生します。つまり、それぞれの帳票のスキーマに、論理的な不一致が発生してしまうのです。もっとも身近な例では、入力帳票が「氏名」で、それに対応する別の帳票が、姓名別々のフィールドのような場合です。こうしたスキーマの不一致は、紙の帳票をそのままデータベース化すると、気が付いたら行っていたということになります。また、転記なのか参照なのか、ここの考え所を全部転記することにしてしまったことで、かえって手作業が増えることもあります。

この問題は、突き詰めると、データベースのスキーマを検討するときに必ず必要となるその業務ドメインのモデル化が不正確なのです。フィールドとテーブルを定義すれば良いというのはFileMakerの機能のことで、設計者は他に考えないといけないことはたくさんあります。データ間の連携はもちろんだし、これについてはリレーションシップで定義することになります。しかしながら、FileMakerの機能に見えないこととして、あるデータは転記して見えるようにするのか、参照して見えるようにするのかということを考える必要があります。これは、FileMakerのテーブル設計のダイアログボックスでは明示化されていないものの、極めて重要な設計上の決まりごとになります。

データベースには、データベースに合った設計を

こうした問題は、昔からありますが、FileMakerは手軽だからこそ、陥る罠でもあるといえます。あえて、「カミFileMaker問題」として、問題を浮き彫りにすることで、より多くの方が意識できるようになればと考えました。もちろん、プロの方々もこうした失敗を重ねてきていて、いろいろなノウハウをお持ちでしょうし、長年使ってきた人も同様です。例えば、受託開発のとき、導入経験がないお客さんの要望をそのまま構築すると、「カミFileMaker問題」の宝庫です。プロや熟練者は、そこでしっかりとお客さんの要望を受け入れつつ、問題の発生を抑える手立てを考えないといけません。言われた通りにやればいいというのは間違いで、そのようなやり方を続けてきた結果使われないシステムを納品することになり、信用を落とすことになるのです。この問題を認識し、きちんと説明して方向付けをする必要があるのは、プロや熟練者の皆さんなのです。決して、素人を茶化すための問題定義ではないことは最後に強調したいと思います。

以下にまとめておきます。もちろん、みなさんの意見や表現の向上も大歓迎です。

「カミFileMaker問題」の発生

  • 帳票類をそのままFileMakerのデータベースで再現する電子化

「カミFileMaker問題」による起こりがちな結果

  • 一見すると効率化されたように見えるが、帳票作業とは異なる事務作業等が増えているなど、実は効率化されていない
  • 機械的に行えるデータの連携や解釈などが、データベースの仕様に含まれず、そうした作業も人間が行う必要がある
  • 2種類の帳票でスキーマが異なり、論理的には転記ができず、人間が解釈してつどつど修正しないといけなくなる
  • 紙が減ることの効率性だけに注目した結果、システム運用コストに気が回らず、気が付いたらかえってコスト高になってしまっていた
  • データベーススキーマの設計において正規化という点が考慮されず、データ解析に支障をきたしたり、あるいは解析自体が不可能な、品質の低いデータを蓄積してしまう。

「カミFileMaker問題」の本質

  • コンピュータ作業に最適なワークフローを検討し、転換しないために、結果的にさほどの効率化もされない
  • データ間のリンク構造を記録できないスキーマ上で、ビジネスデータが蓄積され、どうしようもなくなり、最悪はデータ活用に制限が出てきてしまう
  • データベースのスキーマを単に「紙にあった項目」のみで認識することで、ドメイン自体を表現するモデルの精度が低くなってしまう

iOS 8のデバイスの回転可能な方向の設定

iOSのネイティブアプリケーションを開発するとき、Xcodeのビルドするアプリケーションの設定のDeployment InfoにあるDevice Orientationにあるチェックボックスの設定が重要です。iOS 6以降、この設定がそのままInfo.plistファイルに設定され、アプリケーションはその設定に応じた動きをします。このDevice Orientationは、その方向にデバイスを向けたときに、画面が回転して、画面の上端が実際に上に見えるようになるということを示しています。通常、Upside Downつまり、ホームボタンが上に来る縦長の状態にしたときには、回転は行われないということになっています。つまり、Upside Downの方向にしたときには、写真は90度あるいは180度傾いて見える状態のままになるということです。

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前の図のDevice Orientationの設定は、iOS 7までは、iPhoneとiPadで別々でした。それぞれで回転可能な方向を決めることができました。iOS 8つまりXcode 6からは、その上のMain InterfaceがiPhoneとiPadで共通になっているので、Device Orientationも共通かと思ったら、Xcode 6.1.1で作ったプロジェクトでは、iPhoneとiPadのDevice Orientationの設定が、別々に定義された状態になっています。以下は、Infoをクリックして見たところで、Supported interface orientationが、iPhone向けの設定であり、General(前の図)で見えている設定です。それに加えて、Supported interface orientation (iPad)もあり、4つの方向がチェックされています。このiPadの設定はGeneralには見えていません。したがって、General側で設定をどう変更しようと、iPadの場合はこのInfoで見えている設定に従うために、すべての方向に回転ができるようになります。

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ちなみに、iPhoneとiPadの両方の設定が必要なら、Generalのパネルに双方の設定ができるようにすべきです。もしかして、iPadのDevice Orientationの設定は間違えて紛れ込んでいるのでしょうか? ここで、iPad側の設定を削除したいなら、Supported interface orientation (iPad)の項目を選択し、項目名の右に見える、丸にマイナスの部分をクリックします。これで削除できます。

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ここで、まず、Info.plistに項目が存在するかどうかによって、どのように稼働するのかを見てみます。これを見る限り、既定の動作をさせるには、要するに、これらのInfo.plist項目はそもそもない方が素直な設定の気がします。既定の動作をさせないときに、項目を定義するというのが理にかなっているような気もします。

Supported interface orientation Supported interface orientation (iPad) 回転の動作動作
設定なし 設定なし iPhoneはUpside Down以外が可能、iPadはすべての方向へ可能、つまりデバイス既定の動作
設定あり、要素なし 設定あり、要素なし
設定あり、要素あり 設定なし iPhoneもiPadも、iPhone側の設定に従う
設定あり、要素あり 設定あり、要素あり iPhoneはiPhoneの設定に、iPadはiPadの設定に従う

Supported interface orientationにチェックが入れば、その方向で回転するというのが概略の説明ですが、正しくは1つの場合だけ回転しません。回転しない例が、iPhoneの場合のUpside Downです。つまり、このチェックを入れるだけでは、その方向に回転しないのです。つまり、デバイスの規定値の方が優先順位が高いとみていいでしょう。

では、iPhoneでもUpside Downを可能にするにはどうすればいいか? UIViewControllerにあるsupportedInterfaceOrientationsメソッドにヒントがあり、このメソッドをオーバーライドするのがポイントです。このメソッドは、UIViewControllerであらかじめ定義されており、ビットマスク値を返します。ホームボタンの位置が上下左右のそれぞれに対応する4ビット分のマスク値を返します。UIViewControllerに実装されているメソッドだと、iPadだと4つのビットがすべて1、iPhoneだとUpside Downを除く3つのビットが1になっています。実際に回転していい方向は、Info.plistの設定と、supportedInterfaceOrientationsメソッドの返り値をビットANDをして、残ったビットが回転をしてもいい方向になります。なので、Info.plistの設定で全部にチェックされていても、iPadでは全方向に回転は可能ですが、iPhoneでは、Upside Downはマスク設定で0になっていて、キャンセルされてしまうのです。

それでは、自分で定義しているUIViewControllerの継承クラスで、supportedInterfaceOrientationsメソッドを実装して、全部のビットが1になっている値を返せばいいではないかと考えるところです。しかしながら、この回転の判断は、いちばんルートにあるビューコントローラで判定されます。Single View Applicationで作ったようなプロジェクトだと、いきなり自分で定義しているビューコントローラのクラスがルートにあるので、そこでメソッドを組み込めばいいでしょう。以下のコードに追加されているメソッドを加えます。しかしながら、Master-Detail Applicationのテンプレートで作ったプロジェクトでは、例えば、MasterViewControllerやDetailViewControllerクラスにsupportedInterfaceOrientationsメソッドを作ってもうまくいきません。これらのクラスのオブジェクトはルートのビューコントローラではないからです。Master-Detail Applicationで作ったプロジェクトのストーリーボードファイルを見れば、ルートはUISplitViewControllerクラスのオブジェクトです。そこで、以下のような、UISplitViewControllerクラスを継承したMyRootViewControllerクラスを定義します。そして、メソッドにはsupportedInterfaceOrientationsだけを定義すれば良いでしょう。returnの後のenum型の値が、すべての方向のビット値が1に設定されたものです。返り値がIntなので、rawValueプロパティを使ったり、Int型に変換するなど、Swiftではちょっとややこしいですね。

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そして、ストーリーボードのUISplitViewControllerクラスのオブジェクトを選択します。右側のユーティリティエリア上部では左から3つ目のアイコンを選択して、アイデンティティインスペクタを表示して、Classのところで、前の図にあるMyRootViewControllerを選択します。

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こうしておけば、Master-Detail Applicationで作ったプロジェクトでも、iPhoneでUpside Downの方向でも回転ができるようになります。もちろん、プロジェクトのDeployment Infoの設定にあるDevice Orientationのチェックボックスは4つともオンにしておく必要があります。

[IM]Postオンリーモードと「確認画面」が不要な理由

INTER-Mediatorでは、Postオンリーモードという動作をするエンクロージャーを定義でき、一般的なフォームのように入力をして、ボタンをクリックすると対応するコンテキストに新しいレコードを作るという動作を行います。ちなみに、INTER-MediatorではFORMタグを使わないで実装をしています。

通常、フォームで入力するときには、入力結果を改めて別の画面に明示し、入力者に確認をさせて、OKかあるいは修正するというユーザインタフェースが一般的です。そのサポートをもちろんPostオンリーモードでやってもいいのですが、私は不要と考えます。

なぜ、確認画面が必要なのか?

検索すると、やはり否定的な意見(例えばこちら)がいくらかある一方で、確認画面の作り方というサイトは大量に出てきます。現状、確認画面は作って当たり前というのがどうも業界の一般常識なのでしょうか? ただし、なぜ、必要なのかという積極的な説明はざっと見た限りでは見つかりませんでした。一方、不要というのは、「出したところで見ている人はほとんどいないだろう」という消極的な側面が理由としてはよく見られる内容です。

まず、一般的なWebフォームではなぜ確認が必要なのかということがあります。当然の理由として、「確認したいから」あるいは「確認する必要があるから」ということになりますが、理由はもう少し掘り下げて考えないといけません。おそらく、過去からのいろいろな経験の積み重ねで次のような理由があるからでしょう。

  1. フォームのページでは入力した情報がすべて見ているとは限らない
  2. 入力した情報以外のものを表示したい(販売サイトの合計金額や送料など)
  3. ReturnキーやEnterキーによって、submitボタンが押されたのと同じになり、意図せずサブミットしてしまうときにやり直しが効かない
  4. 積極的な理由はない、一般にそうだからとか、とにかく確認させたいといった理由

これらを順次検討しましょう。

フォーム上で見えていないのはデザインが悪い

理由1は、大昔の解像度の低いWebページを作っていた時代では確かにあったかもしれません。テキストフィールドが40文字としても、50文字の入力があるような場合、ユーザに対しては全項目を入力した後の状態の画面で全部が見えていないのは確かにあります。ユーザは垂直方向はもちろん、水平方向にもスクロールしないと文字が見えません。そのような状況で、念のため一度全部、ページに見せるということは確かに必要でした。

しかしながら、現在は解像度が高いディスプレイが一般的です。また、スマホでも何でも1ページに押し込めるなんてことはしないようにするという積極的な対応が普通に行われます。現在はデザインが重視されており、入力中に今自分が入力したものが見えないようなレイアウトは、一般にはデザインが悪いと言わざるを得ないでしょう。もし、この理由でフォームの確認画面が必要なら、まず、フォーム自体を見直す必要があり、その結果、確認画面は不要という結論になると言えます。

別の情報の確認は入力結果の確認ではない

理由2です。これは、入力した結果の確認画面の話でしょうか? 違います。これは、システムが生成した結果を利用者が確認する画面のことで、入力の確認画面の議論と混同してはいけません。この件は最後に別の確度でも検討します。

Returnキーの動作はFORMタグ特有の動作

古い時代のフォームでは、入力途中にReturnキーに触れてしまって意図せずサブミットされて困った人も多いかもしれません。理由3のように、テキストフィールドにフォーカスがあるときにReturnキーを押すと、自動的にそれを含むFORMタグのsubmitボタンがクリックしたものとみなされるのは一般的な動作です。

他のフレームワークならともかく、INTER-MediatorはテキストフィールドでReturnを押しても、submit的な動作はもちろん、設定やあるいはプログラムを追加しない限りは何も起こりません。つまり、INTER-Mediatorであれば、Returnで意図せずサブミットされることはありません。逆に、Returnでサブミットしたいのなら、何かしらの記述を追加しなければなりません。

考えましょう

理由4に対してはエクスキューズの必要すらないと考えます。利用者の事を真剣に考えていないサイトの存在理由って何でしょうか? そうか、失礼しました。そういうことを考えないから、個別の動作についても理由がないのですね。

作っているものは「入力フォーム」なのかを考える

以上のように、入力結果を新規レコードとして残すような入力フォームでは、INTER-Mediatorで適切なデザインをしていれば、確認画面が必要な積極的な理由はありません。しかし、理由2も含めて、いわゆる入力フォームにはそういう単純なパターンではない場合もあります。

理由2に記載したように、たとえば、商品発注の入力フォームがあって、サブミットしたら合計金額と送料を表示させたいとします。これは、実は、入力+システム処理結果の確認なのです。こういうものは必要と言えば必要ですが、これは入力の確認というよりも、システム処理結果の確認です(例1)。

また、これと同様なものとして、入力情報を、複数のページで入力する場合です。アンケートなどで1問ずつページが変わるものがあります。これも、過去のページを保持するという意味では、システムの処理が絡みます(例2)。

こうしたページをINTER-Mediatorで作る場合は、2つのアプローチがあると考えます。

  1. 必要なページをすべて1ページに作り、CSSのdisplay属性を利用して順次見せるような仕組みにして、最後にPostオンリーモードで新規レコードを作成する
  2. ページの最初にレコードを作ってしまい、それ以降のページは実際にはそのページの編集状態で提示する

例2のように、ステップで変わるページの結果を覚えるだけなら、1の手法だと比較的楽でしょう。戻るのも、そんなに労せず可能です。ただし、例1のようなECサイトなら、たとえば、選択した商品の単価や在庫情報、合計に対する送料の計算などロジックが絡みます。もちろん、AJAXで必要な情報を取得してクライアントサイドで計算することも実装の1つの手法ですが、いったんデータベースに入力した結果を参照する編集ページを遷移させる方がスキーマに組み込んだロジックが使える点では便利です。ただし、発注情報にステータス管理、つまり、確定前か後かなどの情報をきちんと設定するなど、やや複雑にはなります。

いずれにしても、これらの状況は、利用者としては入力フォームなのかもしれませんが、システムの動作を考えれば、入力だけでなく、システムの動作が絡むものです。そこをきちんと把握しないと、効率的な開発はできません。サービス提供側はユーザの視点も必要ですが、システム開発の視点を都合良く忘れてしまうのは良くありません。

それでも従来手法を求められたら?

INTER-Mediatorでシステムを作る場合、それでも「確認ページ」を求められたどうしましょうか?まず、よくある対処として「ボタンを押したらダイアログボックスで短いメッセージを出して確認」があります。まあ、その程度でいいでしょうという要求のような場合です。そのとき、Postオンリーモードでデータベースへの書き込みに行く前に実行するメソッドを定義して、そこでダイアログボックスを表示します。例えば、こんな感じです。INTERMediator.construct(true)の直前あたりに記述します。falseを返せば、何もしません。

INTERMediatorOnPage.processingBeforePostOnlyContext = function(node) {
    return confirm("本当に入力していいでしょうか? しつこいようですが、やっちゃいますよ");
}

あるいは、「入力フォーム」と「確認ページ」をそれぞれdiv要素で1ページで作っておいて、JavaScriptで切り替えます。入力結果を確認ページ側に転記するなど、地道なプログラムは必要ですが、困難さはほとんどないと思います。

ちなみに、値の確認は、バリデーションの仕組みがPostオンリーモードでも使えるので、それを活用すれば、未入力の確認等は定義ファイルへの記述のみで可能です。