Category Archives: INTER-Mediator

[開発プロセス#13] アプリケーション全体を改めて記述する(2)

前回の続きである。前回はユーザーインタフェース要素、つまり、HTMLで記述できる要素は、仮想的に変数とバインドされているという仕組みの考えた上で、ユーザーインタフェース要素と、処理の記述の分離ができていることを説明した。その時の図を利用して、続きを説明しよう。

ここで処理は、分類1から5までに分けて記述をした。このうち、分類3と4がサーバーで他はクライアント側の処理として実装するのが効率良いと考えたとする。「分類2」は、最初に検索フォームを表示する仕組みを記述しているので、特にギミックがないのであればスタティックなHTMLを表示するだけになる。この図では、HTMLの表示には、その要素のHTML記述をテンプレートとして、それを元に画面を構成して表示するという記述で統一することにする。

「分類1」は、フォームに入力された検索条件を元に検索を行い、その結果を画面に表示するまでの、残りの分類を全て通ることになる。分類1については、以前に考えた基準に従って、「やるべき処理」をボックスにして記述をしたが、ここでまず、違和感が出てくる。やはり、ここでは、ボックス間の矢印は「次の処理」を示すことになり、ボックスによって矢印による処理の段取りが変わってくる。であれば、同じ矢印で示すのはどうかと考える。このボックスと矢印の記述の意味を検討して改良することは次のステップで進めることにする。

「入力内容検証」となっているが、設計であるのなら、どのような検証を行うのかを記述すべきであることは明白である。ここでは、OCL等を利用した記述を行うのが順当と考える。

入力に問題がなければ、その値を持ってサーバーからデータを取りに行く。ここで、分類1から分類4にかけては、要するにサーバに対してHTTPのリクエストをPOSTメソッドで行うというごく一般的なCGIの仕組みを利用することになる。「サーバーへPOSTメソッド」から「POST受け入れ」までの処理は、時代によって記述方法が違っていた。古くから行われているのは、FORMタグ要素のSUBMITボタンを利用することで、POSTメソッドをサーバーに投げるということだ。そして、PHPを利用していれば、「POST受け入れ」は自動的に処理されて、分類4は言語要素というか、Apache等のWebサーバーとの連携の中で処理がなされて、POSTメソッドに含まれるパラメータが変数に設定されて、プログラムのファイルの1行目からが実行されるということになっていた。分類5については、PHPを使うのであれば、echoコマンド等で出力した結果をバッファに蓄え、クライアントに送り返す。ここはリクエスト-レスポンスの関係を分離4の部分が担う。その意味では、分類4の部分は、よほどのことがない限り、自分で作ることはないと言えるだろう。分類3がサーバーサイドでの処理の部分である。

なお、FORMタグを使って検索条件を送り込み、その結果を表示するとしたら、分類5の「検索結果表画面生成」はサーバー側の処理となる。それをブラウザはそのまま表示すればいいからだ。しかしここで、分類1〜分類4までの流れをAJAXで実装したとする。そうすれば、おそらく、サーバーから受ける分類5のインプットの部分は、JSONなどの純粋なデータのみになると考えられる。そのデータを、クライアント側が保持する一覧表のテンプレートと合成して、実際にページとして表示される。これは、モダンなJavaScriptプレームワークに共通した仕組みであると言える。

これまでに検討した記述方法で全体像を記述してみたが、前述の通り、ボックスと矢印の部分の違和感を払拭することが必要であると考える。また、バインドしている事実が明白であれば、たとえば、フォームないの「名前」と「名前:検索条件」と記述した変数とのステレオタイプがbindingの関係は明白なので、この関係は1つのオブジェクトで記述しても良いだろう。また、ボックスと矢印がどの変数をアクセスするのかをより詳細に記述することにより、ユーザーインタフェースと処理プロセスの間の同時存在必要性も見えてきて、モジュール分離の指針にもなると考えられる。これらの点を引き続いて考えて行くことにする。

[開発プロセス#12] アプリケーション全体を改めて記述する

開発プロセスの検討を継続的にブログの記事にしてきたが、前の書き込みから3ヶ月が空いてしまった。しかも、#11はフレームワークの機能との分離を目指すことを書いたが、ちょっと順序を間違えたかもしれない。これまでのところで、Webアプリケーションの設計図を描くということを目指しているのだが、ユーザーインタフェース要素と処理の明確な分離がまず1つの目標であった。そして、ユーザーインタフェースは概念的な意味での変数にバインドしているという状況を記述するものであった。その間を、使用しているデータ(あるいはモデル)をある程度意識しながら、「処理の流れ」を記述することを検討していた。

Webアプリケーションとして、検索フォームがあって、その結果を一覧表示するようなものを検討してきたが、ここまでの検討の結果を利用して、図をさらに詳細に描いて見たのが以下の図である。図がだいぶんと大きくなってきた。また、書きながら問題点も出てきているが、まずは、図が何を示しているか、あるいは図が何を表現できているのかをまずは説明しよう。

まず、図の左側には、<<user interface>>というステレオタイプが記述されたサブシステムによる3つの「画面」が縦に並んでいる。「フォーム」と「一覧表」の2つだが、エラーメッセージ用にダイアログボックスが表示されるとすると、ダイアログボックスは「フォーム」の一部であるとも見ることができる。以前に説明したように、「フォーム」では、検索条件を入力するテキストフィールドがあり、「検索条件入力画面」というバウンダリーは、「名前」などのテキストフィールドから構成される。また「検索」ボタンをクリックするとデータベースから検索を行い、その結果を一覧表示に表示されることを期待する。エラーメッセージを表示する「JavaScriptアラート」は、メッセージとOKボタンの処理から構成される。

「一覧表」画面も、同様に「検索結果表示画面」というバウンダリーに代表されるが、名前や住所などのエンティティを表示する。「一覧表」の中の記述だけでは、一覧表になっているということが不明確である点は何らかの検討が必要と考える。

バウンダリーの要素としてはテキストフィールドやチェックボックスなどがあり、図では「検索条件入力画面」のコンポジションの1つである「名前」や「住所」などのように、具体的な定義が記述されている。Web開発ではその要素を参照して…というプログラムを書くか、あるいはフォームの仕組みを利用してサーバーにサブミットすることで終わりとなるが、ここでクライアントサイドの動作の詳細を検討するために、バウンダリーの要素は変数とバインドしていることにする。図では<<binding>>というステレオタイプで記述しており、「名前:検索条件」がその一例である。こうすれば、画面上の要素の設定や取得は、変数に対して行うという処理で一貫性が出てくる。しかしながら、実際にはそこまでの動作をやるとしたら、何らかのフレームワークを使うだろう。ここではフレームワークを取り入れた設計を先々では考慮したいので、あえてバウンダリーの要素を変数にバインドするという記述を行うことにする。

一方、「検索結果表示画面」バウンダリーについてはどうだろうか? 変数とは言え、単一のフィールドなら変数でいいとしても、データベースへのクエリーで得られたものであれば、結果的にはレコードという1つの集まりとなり、それらがさらに配列等で複数存在する結果を記録できなければならない。図では「レコード」、および「レコードセット」と表現している。一覧表にデータを表示するとなると、バウンダリーの要素(図では一覧表サブシステムのコンポジション「名前」など)は、テキストフィールドにしてもいいのだが、通常はTDタグ要素や、あるいはその中のP/DIV/SPANなどのタグに値として設定することになるだろう。テキストフィールドの場合には、変数とのバインディングということは考えやすいが、編集不可能なタグ要素についても、その要素と変数がバインディングしていると考えることが必要と考える。ただし、通常は、変数に値を代入すれば、それが要素に出てくると言った、変数→要素という一方向のものである。しかしながら、ある同一のレコードの、同一のフィールドの値が、テキストフィールドとDIVタグ要素に表示されているとする。単にHTMLだけの実現ではテキストフィールドの値を変えても、DIVタグ要素の値は変わらない。しかしながら、同一の変数、あるいは変数間の同期を実現しているのであれば、テキストフィールドを変更すると同時にDIVタグの表示が変わるということが実現可能となる。結果的に、データベースから取り出した値を有効に使うにはレコードをオブジェクト、レコードセットを配列で扱うことになるが、それらをオブザーバブル(Observerパターンを適用して、変更結果を他のオブジェクトに伝達する仕組みを持つもの)にする必要があるという議論に到達できるのである。一覧の表示に変数という媒介を考える必要はないと言ってしまえばそれまでだが、バインディングを通じてバウンダリーと背後の処理が連携するという仕組みは、MVVMパターンが持つ大きな特徴の1つでもある。その点でのバインディングを基調とした抽象化はフレームワークを単なるテンプレートエンジン以上の価値があるものへと押し上げたこの10年近くのフロントエンドの発展を支える重要な概念となった。

図の説明はまだまだ尽きないので、続きは次回に説明する。

FileMaker Cloudから今後のFileMakerベースのWeb開発を考える

日本市場のユーザーはまだ使えないものの、FileMaker ServerをAmazon EC2上のLinuxで稼働させるFileMaker Cloud 1.15がリリースされ、多数のドキュメントが公開されました。確定情報や、将来構想も含めてここ3、4年の動向を検討できる材料が揃ってきています。

FileMaker 15が最新の現在において、FileMakerデータベースをそのままブラウザから利用できるWebDirectがFileMaker社一押しのWebソリューションであることは言うまでもありません。HTMLなどのコーディング不要であり、FileMaker Pro/Advancedで開発したデータベースをWebでそのまま利用できます。もちろん、一部に要注意点はありますが、そのあたりはドキュメントが完備されている上にあちらこちらのブログやBBS、そしてFileMaker Communityを検索すれば、何かしら解決できる状態になっています。いわゆる「Web特有の開発作業」をしなくてもWeb化できる点では非常にいいソリューションですが、一方、接続ライセンスが必要になることもあって、不特定多数を対象とするWebサイトの場合、ライセンスの範囲内に留めるための工夫が必要になります。技術的に算出は可能なものの、予測が当たるか当たらないかと言う要素は排除できず、一定の確率でアクセスできない場合が出てくることになります。自社向けの業務系システムでは問題ないものの、Webの世界は色々なサイトの利用のされ方があり、そうした要求を満たすにはWebDirectにだけ頼れないという実情があります。WebDirectはFileMaker 13より正式リリースされいくつかのバージョンを経て完成度は上がってきており、近々は細かなアップデートや「より正確な動作」を目指す段階に入っていると言えるでしょう。

一方、カスタムWeb、つまりXML共有やPHP共有を利用したWebシステム構築は、古い仕組みのままでした。特にXML共有はFileMaker Ver.5.5時代のものから本質的には変わっていません。一時期のインスタントWebはデータベースの再現性の低さもあり、プログラミング言語による開発が必要なカスタムWebと用途を分かつような感じでした。もっとも、インスタントWebでできないことが多かったので、カスタムWebに頼らないといけない状況でした。しかし、FM13よりWebDirectが登場しました。カスタムWebは無くなってしまうのではないかという予測はその前後からあったものの、FM15現在、若干の機能アップをしながら本質的には同様な仕組みがずっと搭載されています。カスタムWebはライセンスに縛られないで利用できる場合が一般的なので(ボリュームライセンスは同一組織に縛られる)、不特定多数が参照するサイトにおいても、ライセンス不足で参照できないということを配慮しなくてもよく、マシンパワー的な問題を考慮するだけでWebサイトを構築できました。

ところが、FileMaker CloudはカスタムWebを非搭載となっています。今年のDevConでのセッションの1つSneak Peak: Overview of the FileMaker Cloudでは、Cloudの構成についてすでに公開されており、こちらの内容を見る限りはカスタムWebはCloudには搭載されません。しかしながら、「FileMaker Data API」というRESTベースの機能がCloudに搭載される予定のようです。今回の最初のリリースにはこのAPIは含まれていないことから、順次あるいは次のメジャーアップデートではその方向で開発をしているということになります。そして、興味深いのは、カスタムWebはいつまで使えるのかということです。ここからは完全に予測ですが、FileMaker 16でFileMaker Data APIがCloud及びWindows/Mac対応のFileMaker Serverにも搭載され、FileMaker 18か19くらいまでカスタムWebが使えるというくらいになるのではないでしょうか。両方が並立する期間が数年はあると予測します。根拠は、FileMaker社がのDeprecated Features(使用できなくなった機能)として、ある機能がなくなる場合にはいくつかのバージョンをまたいでアナウンスをしていることがあります。カスタムWebがなくなるというアナウンスはないので、次のFM16には搭載されると予測できます。

しかし、何れにしても、3年を超える範囲を考えれば、そろそろカスタムWebの終焉を視野に入れる時がとうとうやってきたのかもしれません。もちろん、FileMaker Data APIが次のターゲットではありますが、システム単位ではもっとドラスティックにFileMakerを使わないという選択肢を考えることもあり得るでしょう。

もう1つ、前述のDevConのセッションの内容では、LDAP/Active DirectoryからOAuthベースへの移行を行うとしています。これをWindows/Macで稼働するFileMaker Serverでもその方針で進めるかどうかは微妙かと思います。これらディレクトリサービスによる認証は、WindowsやMacではOSに搭載されているから組み込まれた機能であって、Linuxでも同様な実装はできたはずです。しかしながら、FileMaker Cloudは独自に用意したインスタンスでありそこを見直して、いっそのことWebやその他、様々な状況での運用が可能なOAuthにするということでしょう。これは、うまくすると、GOで一度認証すると、同じサーバーで運用する幾つかのデータベースへのアクセス時には、本来の意味のシングルサインオンが機能して、ユーザー名やパスワードの入力が不要になるかもしれません。Macの中で実現していたことが、GO/Windows/Mac/DirectWebとシームレスに認証結果を共有できるようになるのだとしたら、素晴らしいでしょう。したがって、OAuthをFileMaker社の各アプリケーションが背後で実装していて、ユーザーは気づかないうちにその恩恵を得ている…というシナリオが理想です。さて、実際にどうなるのかは運用してみないとわかりません。何れにしても、FileMaker Data API時代のWebアプリケーションは、OAuth対応を考える必要が出てくると思われます。

最後にINTER-Mediatorです。もちろん、カスタムWebベースでの稼働はFileMaker Serverのサポートが続く限り継続させますが、FileMaker Data APIへの対応は必定であることは言うまでもありません。現在はスペックも、テスト稼働もできないのでなんとも言えませんが、開発ができるようになった段階からなるべく早く開発を進める予定です。

FileMaker Cloudまだ使えず

EC2にインスタンスを作ったら、メールが来て、最初のセットアップができるようにヘルプには書かれています。しかしながら、1時間ほど待った今、まだ来ません。ということで、もう少し追加情報や検討ポイントを書いておきます。ちなみに、英語のサイトでは、Cloudのマニュアルページがすでに用意されていました。

まず、インスタンスを作った時に自動的に作られるセキュリティグループにファイアウォールの設定がありますが、「インバウンド」を見ればわかりますけど、ちゃんとFileMakerのデータベースのポートである5003が開いています。80, 443はいいとして、SSHは開いていません。しかしながら、編集ボタンを押して、SSHを追加すれば、通常の手順でSSHに接続できます。接続方法はコンソールのインスタンスで「接続」ボタンをクリックして確認できますが、デフォルトのユーザー名は「centos」であってrootではありませんので注意しましょう。当然ながら、インスタンスを作った時にキーファイルが作られてダウンロードしていると思いますが、こちらもアクセス権をmacOSだと600にするなど、sshの作法に従って作業をします。

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SSHで接続してみて見ると、Apacheもnginxも上がっていません。しかも、TCPで1つもポートが開かれていない。この状態ではデータベースはもちろん、外部から接続のしようがないように思います。それにヘルプに書かれた「メール」がない状況を考えて、がっつり推測ではありますが、この状態でなんらかのアクティベーションをFileMaker側で行うのではないかと考えました。どうでしょう。従来のライセンスを使う場合だと、FileMaker Storeでアクティベーションするのだから、なんらかのアクティベーションがあるのは確実ではないかと思った次第です。とすれば、確かに日本の顧客であればアクティベーションをしないという対処も可能かもしれません。ですが、これは推測です。

さて、ライセンスです。作業中に見えた別のページを見ると、Amazonに対してAMIの利用料を年間で払うプランもあるようです。これだと、年間880ドルだから、FileMaker ServerのAVLAより高いけど、まあべらぼうに高いわけではありません。これまで通り、FileMaker社から購入したライセンスでも、Amazonに対して年間あるいは時間で課金した料金でも支払えるようになっています。

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ちなみに、FileMaker Server 15は当初は、Windows ServerかOS Xでの運用しかできなかったのです。Linuxで稼働するサーバーは皆が(特にSI関係者は)熱望していたと思います。FileMaker 5.5のサーバーではLinux版もあったものの、FileMaker 7でWindows/Macだけになって10数年経過して、Linux対応していたのも忘却の彼方です。

サーバーなのでLinuxで稼働させるのはそんなに難しい話ではないと思いますが、おそらくLinuxで稼働させるとなると無数のディストリビューションがあることから、サポートコストがかさむことを懸念したのだと思われます。しかしながら、Amazon EC2のAMIで提供すれば、プラットフォームはAmazonだけだし、課金のシステムも完備です。サポートは最小限になるし、きちんとライセンス料を取れる仕組みであることを考えれば、仕組み自体は非常にうまく考えられています。

FileMaker Cloudのバージョンは、「FileMaker Cloud 1.15.0」となっています。1.がついている。FileMaker Pro/GOは15.0.2を使えとなっています。FAQを読むと、書き込み権限があるのはDocumentsフォルダなど限られており、サーバーサイドのスクリプトには注意が必要でしょう。といいつ、これはMacOSでは同様でした。スケジュールスクリプトが組めないというのも注意が必要でしょう。今後、アップデートでできないこともできるようになって欲しいものではありますが、ともかく、カスタムWebが動くようにして欲しいです。新し目のXMLスキームだけでもいいですから。

FileMaker Cloudが出たぞ!

突然、FileMaker Cloudがリリースされました。FileMaker Server 15のクラウド版ですが、Amazon Web Serviceで稼働するFileMaker Serverです。CentOS 7ベースです。なんと、カスタムWebは動かないので、INTER-Mediatorでは利用できません。他に、LDAP/Active Directoryのアカウントでのログイン機能もありません。ESSはサポートはしますが、ドライバが非対応ということはちょっと簡単ではなさそう。その他諸々いろんなチェックポイントがあります。

しかし、よく見ると、「FileMaker Cloud is currently only available in the United States and Canada.」と書かれている。日本のお客様はお預け〜!? ってことではいさようならとは行きません。AWSでどうやって日本からのアクセスを切るのかいなと思いつつ、AWSにログインして、リージョンを「バージニア北部」にします。そして、EC2のインスタンスを作って見るわけですが、ここで、AWS Marcketplaceを選択してFileMakerで検索すれば、あらあらちゃんと出て来ますね。

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一番規模の小さいのを選ぶと、ちゃんと値段もわかります。この「時間課金」というのはAWSでの一般的な課金方法です。FileMaker社からライセンスを買わなくても、時間課金ができるとは言え、よく見てください。最低の構成でも1時間が1ドル強、上がっても1.229ドル/時間。要するにアマゾンの費用に比べてFileMakerのライセンス料が異様に高いのです。月間30×24=720時間として、732ドル、ということで、月間7〜8万ほどかかります。まあ、こちらを選ぶ人は少ないでしょう。FileMakerからライセンスを買って使ってください。なお、その場合、AMIの選択肢が違います。ライセンスを自分で持っている(BYOL)人向けのAMIがあったりします。

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ここで、「お金を払っても試して見るか」と腹をくくったのですが、よく見ると、15日はフリーライセンスということで、Amazon側のEC2使用料のみで、15日は使えます。

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そういうわけで、なぜ日本では「入手できない」となっているのか?AWSは全世界に共通のサービスをしているのだから、昔の代理店ビジネスのようなことは最初からできるわけがないことは明白なのにどういうことでしょうね。

ということで、操作等より詳細を知りたい方は、インストール後に出て来たヘルプのページをご覧いただくと早いでしょう。

第1弾は以上!

[開発プロセス#9] コントロールの処理の詳細化

前回までで、バウンダリーを詳細化するところまでを記述したが、またまた時間が空いてしまった。サーバーが起動しなかったり、開発の作業に集中したりなどしていた。

さて、続いて、コントロールの中を詳細化する。実際に詳細化できるのかを検討する前に、なぜ詳細化しなければならないのかを改めて検討しておく。多くのフレームワークは、コントローラーという1つのクラスを作ることからチュートリアルが始まる結果、1つのクラスで作るものだと思い込んでいたり、あるいはクラスを複数用意するとしても、連携する手法は特にフレームワークで用意されていないなど、「巨大な1つのコントローラー」を用意する素地が、意図しなかったとしてもフレームワークがお膳立てしているという状況であるとも言えるだろう。一方、最近、ある仕事で、ethnamというグリーが当初開発したethnaの後継というPHPのフレームワークを使う機会があった。このフレームワークは改めて、フレームワークの機能との対比を考えるときの題材の1つにする。このフレームワークの特徴は、コントローラーというクラスを作るのではなく、中心的なコントローラーに対応する決められた名前のメソッドがあるという点である。決められていることは、prepare、perform、preforwardという3つのメソッドが順番に呼び出されるということだ。prepareは結果次第でのちの作業をキャンセルできることから、バウンダリに近いところにあってデータの検証などを行う入力用ビューコントローラーと言える。一方、最後のpreforwardは、出力の直前に呼び出されることから、出力用のビューコントローラーと言える。中間のperfomは、まさに、コントローラーとしての役割を持ち、ここでモデルへ働きかけるなどのビジネスロジックとのやりとりを記述することになる。これらのメソッドが保持されるクラスは決められた場所に作成するようになっているため、コントローラーの粒度はクラスよりもメソッドの方が適切だと言えるフレームワークである。コントローラーというクラスを作る話と、コントローラー相当のメソッドがあるという話は、設計の上では極めて大きな違いがある。抽象的な記述から、フレームワークにあった実装を行うという方針でもいいのだが、この方針だと属人的な実装テクニックや、あるいは「言わずもがな」なルールを読み解かないといけない場面が多そうだ。結果的に、大きな単位で何をすべきかは考えるのがモデルの1つの目的ではあるもの、コードの段階ではもっとも粒度の低い1つのステートメントを記述しなければならない。ならば、コントロールの中の粒度をより細かくして一度考えてみる必要があると思われる。また、フレームワークの機能との対比をする上では、やはり一度は細かな処理に分ける必要があると考える。

まず、次の図は、クラス図を元に、一覧と検索を持つようなWebページのモデルを記述したものである。astah*でクラス図を用意して、バウンダリーは大まかながら、主要なコンポーネントを抜き出して1画面を枠で囲う形式で記述した。モデルは、この段階では概略として記述し、コントロールの中の処理の1ステップずつをクラスで記述した。

クラス図0

この図を描きながら考えたことは、まず、処理には順序があるということである。入力されるバウンダリーから、出力されるバウンダリーに向かっていけば判別つかなくもないが、図を明確にするには、処理の順序を矢印で示し、どちらが先なのかを記載する必要があるということだ。

続いて、どうしても「分岐」は必要になる。前の図は、クラス図で適当に書いたものである。この点から、前の図にはないが、繰り返しや並行処理的なものを記述が必要になることは十分に可能性があるがある。

ここまでに至るまでにすでにお気付きのように、コントロールの処理を詳細化したものは「フローチャート」なのである。もっとも、UMLでフローチャートに近いものといえば、アクティビティ図である。前述のモデルをastah*のアクティビティ図で記述してみた。ほとんど同様な図が描かれているが、バウンダリーやエンティティのアイコンに接続された矢印が今ひとつうまく処理できていない。astah*でこの状態にするには、オブジェクトのオブジェクト名を空、ベースクラスをバウンダリーで使ったクラス名を選択することででき、その後に右クリックして、標準アイコンを選択するもこのようになってしまった。フローチャート部分は作りやすいが、astah*での作業は明らかにクラス図の方がみやすい図を作れる。

アクティビティ図0

この先、図をどうやって作成するかは問題だが、とりあえず、クラス図に戻り、バウンダリーの詳細化を行った。画面要素のキーあるいはフィールドの記述をコンポジションでバウンダリーに追加したが、「JavaScriptアラート」のような手法の指定もあるかもしれない。特にこういう場合の記述はないと思われるので、点線矢印で適用先を記述した。

クラス図0_0

このモデルから実装の方針をもう少し進めよう。バウンダリーの集合が3つあるが中央にある「エラー表示」はシンプルにJavaScriptのアラートを使うとしたら、「エラー表示画面作成」は、単にJavaScriptでwindows.alert(“…”);を実行することである。また、検索ボタンを押した時には検索条件はクライアント側にあるのだから、赤線枠で囲った部分は「検索条件入力画面」のページの中にJavaScriptでの記述が行えることになる。また、そうなれば、エラー表示に伴う「OKボタン」のクリックによる「検索条件入力画面生成」の処理を行う必要はない。その画面を崩さずにアラート表示したのであれば、単にアラートの表示だけでもOKである。結果的に、「エラー表示」は「検索条件入力画面」の一部となった。あとは、検索条件の検証ルールが与えられれば、実装はできそうである。

クラス図0_0_0

残りのアクティビティを分類して見る。分類の基準は、順次実行するアクティビティであるという点になる。つまり、まとまって実行されるアクティビティのセットは少なくともある段階では同一のメソッドの連続したステートメントに記述されていることになるので、その点から分類をする。そうなると、「検索条件入力画面生成」が1つ、さらに「条件を与えて顧客情報検索」「検索結果表示画面生成」が別の分類となり、図中ではそれぞれ分類2と分類4で囲った。分類4の中にある2つのアクティビティは、データ検索とビューの生成といった違うことを行なっている。そうであるのなら、さらに分類すべきであるとも考え、図中の分類3で囲った部分が抽出される。結果的に全部バラバラということにもなるが、分類4のみ2つのアクティビティからなるとも言える。

ここで、まず、分類3の「条件を与えて顧客情報検索」であるが、データを扱っているので明らかにモデルに関わる機能である。そして、いくつかある「画面生成」は明らかにビューに関わる機能である。図の右側に対応するコントロールを記述したが、それぞれ対応するオブジェクトを記述できることから、この図はロバストネス図をさらに詳細したものであるという点は明白である。

実際に実装するとなると、分類3「条件を与えて顧客情報検索」はデータ処理が含まれており明らかにサーバーサイドの処理となる。2つの「画面生成」は、例えばPHPのフレームワークのCodeIgniterであれば、サーバーサイドで記述をする。これくらいの機能ものだと1つのコントローラークラスにまとめてしまってもさほどのコード量ではないと考えるかもしれない。

ここで重要な点がある。それは分類1はクライアント、分類2〜4はサーバーサイドでの実装を行う点が、ある状況では決定づけられてしまうということだ。一般にはサーバーサイドのフレームワークの場合「画面生成」という処理から先は自動的に行われる。画面生成に必要な状況をコントローラーで作り出すのが開発作業である。そこで注目したいのは、考慮すべきクライアントとサーバーの切れ目である。画面生成はどちらかといえば、フレームワークでほぼ自動化されいているので、考慮対象外である。一方、「入力内容検証」後にエラーなしとなった場合、「条件を与えて顧客情報検索」に移行する場面がある。ここは矢印が1つだが、実際には、サーバー側にはPOSTメソッドの受け入れから、該当する処理が記述されたメソッドを呼び出すまでの処理(例えば「ルーティング」など)が入ることになる。これらは自動的にできないメソッドも多い。

これらの検討結果を加えたモデルは次のとおりである。まず、検索条件の入力はフォーム(HTMLのformタグ)で記述することにして、フォーム自体をサブシステムとして記述する。入力結果を検証した結果、サーバーへPOSTするのは、ブラウザが本来持っている機能である。また、POSTを受け入れるのフレームワークあるいはCGIとして持っている仕組みを利用できるので、これらは実装対象ではない。ただし、正しく受け入れがなされて意図したメソッドが呼び出されるようにするための処置は必要であり、それはフレームワークごとに違っている。

クラス図0_0_0

このように小規模なWebアプリケーションでもクライアントとサーバーの分離やフレームワークのサポートの有無を考慮しながら、実装ポイントを探るということが必要になる。従来のオブジェクト指向を基調としたモデルでは粒度が粗く、実装の具体的な手法までをモデルまで記述することはしなかった。言い換えれば、実装した結果の要約を逆解析するようなものであったとも言える。現実の開発でここまであるいはさらに細かい詳細化がモデルの段階で必要かどうかという議論はあるだろうが、その点は別にしてもWeb開発の学習やフレームワークの理解にはこうした手法が有効であると考える。

[開発プロセス#7] 開発対象システムのモデル記述

システム開発でモデルを作成することにより、これから作るシステムが要求に合致したものであるのかといった側面の検討だけではなく、効率の良い実装が可能であるのかといった側面や、予想される改変や拡張に対して実現可能性やその効率性、テストのしやすさなど、実装に直結すること以上に利用できる。しかしながら、その作成するモデルは、様々な手法がある。要求の記述という点ではユースケース図とユースケース記述が出発点にはなるが、データベース主体の開発だと、ここでER図の作成を主体にすることが多い。データベースの構造は対象ドメインの状況を記述できるようになっている必要があるのだが、その結果、全てがデータベースの設計結果であるスキーマに集約されているという見方をしてしまいがちである。ある作業を、スキーマで解決するか、あるいは実装するプログラムで解決するかはもちろん考えるのではあるが、では「ここの処理はプログラムで」というアイデアはER図やクラス図では不明確である。メモを残すなどの工夫が必要になる。

一方、Webシステムではワイアフレームといったざっくりとした画面のデザインをもとに、画面遷移を定義することで、システムの全体像を示そうとする。しかしながら、画面デザインが反映するのは、システムへの実装以前にドメインに対して実施される分析をもとにして作成されるビジネスモデルであり、実装に直結したER図等のモデルからのズレが生じする場合もある。しかしながら、HTMLでの動的なユーザーインタフェース作成機能は限られていたので、例えばチェックボックスであればどういう動作をすべきかということを逐一記述しなくても、半ば「常識的な判断」で進めることであまり大きなブレは発生しなかった。さらに、結果的にビジネスモデルとER図で記述されるスキーマとはあまり変わらないことお多いので、HTMLのモックアップが「設計」として扱うのは、デザイン主体の開発会社では頻繁に見られる方法である。

このように、ある程度のスキルや、ワークフローができてくると、途中を省略する傾向は強く、単一の会社でそれが回っている間は特に問題視はされないだろう。しかしながら、Webの世界は変化が激しい。特にここ5年くらいの時期はクライアントサイドの作り込みの度合いが高くなり、ユーザーインタフェースは複雑化している。その結果、Webのクライアントサイドは多階層的な機能分離を図る必要が出るなど、スマホのクライアントのネイティブアプリケーションに近い構造になっている。

こうした状況が変わってきた時、ワークフローを見直す必要があると考える。今までの知見や常識として暗黙知的に取り扱っていた知識だけでは、新しい問題に対する解法がない可能性が高く、最適な設計ができなかったり、チーム内での意識の疎通が悪くなる。そのために、本来的な詳細なモデルを記述するということが必要なのである。そこを出発点にして、省略やあるいは詳細化をするとしても、Webシステムのモデル記述の手法を一定のレベルで確立する必要があると考える。

UML自体の汎用性は高く、その点では有用性も高いのは事実である。しかしながら、UMLやその周辺手法を使ってWebシステムの記述をするにあたり、次の点に対して何らかの解決策が必要と考える。

  1. 詳細化するとき、明確なルールは特にない
  2. クラス図を主体にすると、オブジェクト指向が前提となる
  3. ボックスがクラスやオブジェクトで、呼び出しが矢印線的な切り分けによる分かりやすさはあるが、処理の記述では呼び出し線に名称を書くことになり、図を見やすく作ることが困難になりがちである

まず、1の詳細化についてである。作成したモデルと、使用するフレームワークの提供機能を比較検討して、実装箇所を特定するには、極端に言えば、プログラムの1行レベルまでを、モデル内の1つの要素として記述することも必要とされる。また、ロバストネス図やシーケンス図では「画面」を1つの要素として扱うが、実際に処理の流れを追う場合、ボタン1つ1つは原則として異なる動作をするので、ボタン1つ1つを要素として表したいということになる。このための指針が費用である。

2つ目のオブジェクト指向である点は、Javaのプログラムだけを作るような場合には確かに有効ではあるが、HTML、CSS、JavaScriptが絡む世界では必ずしもオブジェクト指向ではない。つまり、クラスやオブジェクトを1つの単位として考える場面は実装時にはあるかもしれないが、分析時にはどちらかと言えば、より細かい単位での要素を記述したい。最終的にはメソッドが集まってクラスになるとしても、対象としたのはメソッドであり、その中でどんな処理をしたいかということである。

3つ目は、コミュニケーション図でオブジェクトからオブジェクトに線を引き、線に添えてメッセージ呼び出しを記述する。この方法は実体あるいは実体化可能なものはボックスであり、メッセージは矢印線であるという明確な分類があるものの、簡単なモデルでも、オブジェクトとメッセージを見やすく配置するのはかなり大変である。ましてや、複雑なモデルだとなおさらである。ここではメッセージの記述が作図作業を煩雑にしている点は明白であり、それに代わる表記方法を検討すべきであると考える。

これらの懸案をまずは見える範囲での解決を行った上で、Webシステムのモデルを記述することにする。まず、1〜3に対する提案を次回より行う。

 

[開発プロセス#2]何のための何を目指したプロセスか?

開発プロセスにおけるアーキテクチャ設計として先日記事を公開しましたが、継続して記事を続けるにあたって、ヘッダに [開発プロセス#N] (Nはシリアル番号)を入れることにします。前回は大まかな話でしたが、今回は検討する開発プロセスの目的を定めます。今回は、当たり前の話ばかりだと思います。

開発において、いきなりプログラミングすることはまずないと思いますが、何らかの検討を経て実装に入ります。実装なくしては当然ながら完成しないので、実装、すなわちプログラミングは開発の中心と思われているかもしれません。しかしながら、実際に開発経験があると理解できることは、事前に検討して問題解決していることと、実装しながら問題解決に当たるのとでは、前者の方がはるかに効率的であり、出来上がったコードの質が高くなるということです。「仕様書をちゃんと書けよ」ということになる一方、仕様に関する成果物に労力をかけないまま実装に入ることもあります。これらの上流工程にどの程度時間をかけて、どの程度の成果物を得ればいいのかということの議論は昔から今に至るまで、そしてきっと未来永劫続くことと思います。ウォーターフォール形式など、開発プロセスが決まれば、1つのプロセスの終了と、検討結果に関する成果物とが対応することになり、いわば自動的に仕様書を書くことが前提になります。一方、仕様書を記載したり、あるいは変更結果を反映させる作業は決して小さな負荷ではありません。アジャイル開発のように、完全な仕様書を書くよりも動くコードを書くことを優先させる手法も出てきている一方、このことを都合よく解釈して「アジャイルはドキュメントは書かなくてもいい」と決めつける人たちがいることも事実です(アジャイル勘違い集#3)。しかしながら、こうした決めつけが出てくる背景には、設計の成果物の労力に見合う結果が得られるのかという懸念があるのではないでしょうか。

実装に入るまでのプロセスを重要視し、仕様書を作るという立場は崩しません。しかしながら、アジャイルソフトウェア宣言には「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、」とあります。包括的な、すなわち完全なドキュメントでないけども、設計する上で考えたアイデアや制約などがドキュメントとして参照できる必要があります。ではコードをしっかり書けばいいという考え方もあります。Googleへの注目が増大される時代に、「Googleでは仕様書ではなくコードを見る」のだというイメージが定着し、ここでも勝手な解釈になるのでしょうけど「仕様書はなくてもすごいシステムは作れる」と思ったと考えられます。また、コードは常に最新であるという主張は間違いはありません。しかしながら、コードはコードであり仕様ではありません。コメント欄に記述できる内容も限られていますし、コード上で明示的ではないあるいはその真髄に迫るには時間をかけて解析しないといけないような様々なノウハウが実装には注ぎ込まれているはずです。コードで仕様に関するコミュニケーションがとれるとしたら、その内容に精通したプログラマ同士だけでしょう。オープンソース開発では、コミッターの時間的制約などでそうした状況になりがちであり、単体テスト等のテストを自動化することと組み合わせれば、十分にワークする方法であることは多数のオープンソースプロジェクトから言えるのではないでしょうか。しかしながら、コードを読み解くということは、時間をかけて解析したプログラマ以外に可能かというと、ほぼ無理でしょう。顧客や発注側はそこまではしない、あるいはできないでしょう。「しない」理由は、それをやるくらいなら自分で開発できるから発注しないからです。プロジェクト管理者、あるいはユーザーテストの管理者、導入教育担当、こうした開発に関わる様々な人が、プログラマ並みにコードを読むことができるかといえば、能力的なことだけでなくビジネスに直面するコストの問題でできないと言えます。

受託開発では顧客の要望がコロコロ変わるようなことは普通にあり、これは「消極的なアジャイル」とも見ることができます。追加の開発に対しても費用が出ないことあるのに、ドキュメントの更新に追加の費用を請求する雰囲気は現場にはありません。こうして「使えないドキュメント」が山積みされることになるのですが、その使えないドキュメントでも、過去のある時点をキャプチャした情報として活用せざるを得ない場合もあるわけです。

こうした現在の開発プロセスにおいて、成果物として何が求められるのかを再考するのが、一連の[開発プロセス]記事の1つの大きな目的です。すなわち、ドキュメントに記述されることを、ドキュメントに対する負荷を可能な限り最小化したプロセスとして再考するのが目的です。以下、まとめてみました。

  • 仕様書は作成する必要がある。特に強くコミットしているプログラマ以外のコミュニケーションにはなくてはならない。
  • 仕様書が膨大になると、更新が滞り、最新の結果が反映されなくなる。仕様の変更に対してドキュメントの更新は必要だが、その負荷を最小化したい。

この次は、開発されるシステムがどうなることを意図しているのかということを記載します。こちらの方が先に記載すべきかもしれませんが、目的の話題が何度か続くとういうところです。

開発プロセスにおけるアーキテクチャ設計

INTER-Mediatorに適した開発プロセスを考えていましたが、うまくまとまりません。なんでかなと考えたのですが、INTER-Mediatorを使うという前提なしで考えるべきであり、それを元にINTER-Mediatorへの適用をする必要があると考えます。つまり、一般的な意味でのWebアプリケーションだとかスマホアプリといったものを開発するときに、どんなアーキテクチャが前提となり、設計上何を考えれば要求・要件から実装に近づけるのかという一般論をまずはまとめるべきなのでしょう。最近、たまたま、いろんな仕事の中でアーキテクチャ関連の話題の基本を再勉強する機会があり、その中で一般論になんとなく近づいている感があるので、いっそのこと、考えながらブログでまとめていくという過程で進めようかと考えた次第です。

システム開発では、要求や要件を出発点として、仕様を策定して実装に持ち込みます。外部仕様、内部仕様という区分けがある場合もあります。また、データベースを使う場合は原則としてレイヤー構造になり、データベースが底辺を担うことからドメイン分析した結果をスキーマとして記述して、実装段階では確定したデータベース定義にすることになります。こうした、設計の定石とも言えることはたくさんあり、特定の開発チームや流派、カルチャーに応じてその表現は違うものではありますが、システムを意図した通りに稼働させるという意味では目指す方向は同じであり、場面によって言い方が違うだけの場合もよくあるわけです。一方、様々なノウハウがあるものの、ある要件を満たすようにシステムを作る場合の実装に向けた機能分解は、単一の答えが存在する問題ではありません。同程度に正しい解答はいくつも作れるでしょう。結果的に、「状況に合わせて最適化する」というなんとでも取れるようなアドバイスしか出てこないことにもなりかねません。しかしながら、機能をどのように分解して、それぞれの個別の動作をどのように実装するのかということが、開発の上では非常に重要な決定であることは言うまでもないことです。ベテランや才能のある人は、そういうことをスラスラとできるのかもしれませんが、初心者あるいはある領域の経験が浅いと悩むものです。手っ取り早く知りたいという要求は年々高まり、「ベストプラクティス」や「ティップス」といった情報が重宝されるようにもなります。

こうした設計を完成させるに至る知見は、例えばオブジェクト指向分析や、コンポーネント分析、パターンなど、様々な手法があります。それらをうまく束ねた統一的な開発手法も多数存在します。私が考えていることは、そうした開発手法の1つを作り上げることであり、その結果をもとにして、INTER-Mediatorでの開発手法を確立するということです。車輪の再発明っぽく見えるかもしれませんが、問題点を検討すると、やはり時代に応じた道具に対応した手法はその都度更新されていくものではないかとも考えられます。

現在の様々な開発手法が発展したのは、オブジェクト指向プログラミングが当たり前の時代になり、コンピューターの性能が高まり、そしてインターネットで世界中が繋がって、Webという基盤ができた頃の時代です。一方、現在はスマホ登場やフロントエンドの発展が著しく、サーバー単体での開発手法以上のものが求められています。従来はWeb開発とネイティブ開発、つまりOSのAPIを直接利用する開発は、大きく違っていたのに対して、現在は言語やフレームワークは違っても同じような実装をしているという感覚があります。この領域で業務をしている人は薄々気づいていることではないでしょうか。これは、何か共通のアーキテクチャを持ち込むべきではないかと考えました。まずは、そのための問題意識として持ったことを箇条書きにします。

  • Webシステムはサーバー中心なのは仕方ないとしても、クライアント側のアーキテクチャをどう表現するのが適切だろうか?
  • スマホアプリはサーバー接続する場合が多く、「サーバー側」「スマホ側」という2つのアプリケーションの連動を行っている。最近のWebも「スマホ側」が「JavaScript処理」に置き換わるだけの違いとも言える。つまり、今時のシステムは、サーバーサイド、クライアントサイドを統合的に議論できるアーキテクチャを基盤として持つ必要があるのではないか。
  • コンピューターが速くなり、メモリーも豊富になると、RDBである必要性は薄くなる一方、やはり安定した保存はRDBが理解しやすいとも言える。RDB前提のシステム設計はある意味安定するのだが、逆に必然としてRDBが出てくる理由付けはないのだろうか?
  • サーバーサイドのアーキテクチャはともかくMVCである。いろんなMVCが存在する一方、正しいとか正しくないとか、本物だとかそうじゃないという議論があるものの、MVCは大雑把な機能分類として考えれば、役立つ場面は多いのではないだろうか。
  • クライアントのアーキテクチャはMVCなのだろうか? 違うのだろうか? クライアントサイドの主要な機能はUIの運用とその高度化であるとしたら、MVVMがいろいろな意味で包括性の高いアーキテクチャではないだろうか? ただし、バインディングとオブザーバーを基調としているだけに、それらを実装していないフレームワークはMVVMとして俯瞰できるかどうかが難しい点であると言える。
  • MVCとMVVMを出発点に考えるとしたら、それらの中での機能分割の指標としては、ロバストネス分析をベースに検討できるのではないか、ロバストネス図の要素はビュー、コントロール、エンティティであり、ほぼMVCのコンポーネントに対応するものの1対1ではない。しかしながら、要件をロバストネス分析して、MVCやMVVMを基本としたアーキテクチャとして表現することは、オブジェクトし志向分析の結果を見ても可能であると考えられる。
  • MVCなどのアーキテクチャパターンで設計しても、実装できないかもしれないし、実装するために変形が必要な場合もあるのかもしれない。過去の様々な設計手法では、汎用化がされる一方で、使用するフレームワークの制約やあるいは特有のコールドポイントの扱いなどが考慮されたものは見たことはない。しかしながら、フレームワークによる制約は可能な限り早期に検討する必要がある事柄ではないだろうか。あるいは、フレームワーク制約を組み込む段階がいつなのかを明確にすべきではないだろうか。
  • サーバーとクライアントの分類はどうすべきだろうか? 最初はそれらは関係なく、要件満たすような必要な処理に分割し、あるところで「線を引く」という作業になるのだろうか? そうすれば、サーバーとクライアントの両方を巻き込むシステムの設計はスムーズにできそうだ。

とりあえず、思いつくまま挙げましたので、ポエムに近づきつつあります。これらの考えを少しずつほぐして、手法として使えるまでにすることが目標です。

(続く)

[IM] Ver.5.3よりサポートのsourceキー

Ver.5.3より、コンテキスト定義(定義ファイルのIM_Entry関数の第一引数の配列の要素)に、sourceキーを入れるようになっています。データベース上のエンティティ名に関連するキーとしては、name、view、tableがありますが、それにsourceが加わります。データベースから読み出しを行うときのFROM句に指定されるビューやテーブルの名前は、viewキーがあればその値、なければnameキーの値が使われます。CREATE/UPDATE/DELETコマンドの対象は、tableキーの値で、それがなければnameキーが使わます。例えば、nameキーにテーブル名があれば、そのテーブル名を指定しての読み書きはviewとtableキーの指定はしなくてもできます。しかしながら、表示は何かのビューを使い、更新はそのビューではない特定のテーブルを指定したいような場合に対処できるように、viewとtableキーを用意しました。

しかし、これだけでは問題があります。あるテーブルのあるレコードのあるフィールドが、ページ上の複数のリンクノードに展開された場合、それが例えば両方ともテキストフィールドであれば、一方の値を変えると、フィールド更新のためのサーバー通信が行われるとともに、クライアントサイドで同一フィールドの別リンクノードの値を更新できるようになっています。その時、何を手掛かりにして反映させるコンテキストを探しているかといえば、「viewないしはnameキーの値が同じだが異なるコンテキスト」です。例えば、住所録的なpeopleテーブルがあり、同一ページに全レコードの一覧と、その中で男性の一覧の両方があったとします。前者のコンテキストは、name=allmembers, view=people、後者のコンテキストはname=malemembers, view=peopleとして適切なqueryキーの条件を与えればいいでしょう。こうすれば、同一テーブルから異なるコンテキストを生成して、内容が異なる一覧を1ページ内で生成できます。

この時、男性の一覧にあるレコードは、必ず全員のレコードの一覧にもあります。どちらもviewキーがpeopleなので、男性のレコードの1つのフィールドを変更すると、対応する全員の一覧にあるレコードのフィールド値も更新されます。以下、この動作は「連動」と呼びます。同一のviewキーの値を持つコンテキスト同士なので、INTER-Mediatorにとっての手がかりがあります。

しかしながら、SQLのレベルで、peopleをもとにしたビューeveryoneとsomeoneがあったとします。それらで表を作るとしたら、nameやviewを使うにしても、everyoneとsomeoneがそれぞれのコンテキストに登場はしますが、コンテキストの情報から各々が同一のpeopleテーブルから導出されていることはわかりません。そうなると、同一のレコードがそれぞれの一覧に見えていて、一方の値を変更したとしても、その変更結果を伝達する手がかりがなく、連動はできません。

このような時には、一方のコンテキストを、name=everyone, source=people、もう一方はname=someone, source=peopleと定義します。ページファイル側は、everyoneあるいはsomeoneをdata-im属性に利用する点は変わりありません。このsourceの設定により、2つのコンテキスト定義から得られるコンテキストは、同一のテーブルから来ているものということがINTER-Mediatorに伝わるので、同一フィールド値がユーザーインタフェース上で連動するようになります。